【聖書箇所朗読】
【説教音声ファイル】
2018年8月5日説教要旨
聖書箇所 第1 ペテロ1:22-24 ヨハネ20:30-31
『不朽不滅の聖書』
瀬戸毅義
1945年(昭和20年)8月15日、「大日本帝国」は崩壊しました(敗戦となりました)。思えば長い戦争中心の生活でした。8月15日を最後にもう空襲はありませんでした。太平洋戦争がはじまってからあしかけ4年、満州事変がはじまってから15年ぶりにやってきた平和でした。わたくしは歴史学や政治学の専門ではありませんが、一クリスチャンとして日本人としてこの時代を考えてみたいと思います。
戦争前から戦争中において日本を禍(わざわ)いしたものの一つは活ける真の神を退けたということでありまして、方々の学校に行って文部省の役人や陸軍の教官などが「キリストあるいはエホバの神様と天皇陛下とはどちらが偉いか」などという愚問を発して生徒や国民を苦しめ悩まして来たことであります。それを正す事が日本の国の信仰問題、日木が生きていくために本当に大切な事であります。我々はそれが罪である事を知るが故に我々は神様に対してそのことをお詫びしなければならない。<1945年8月26日>(矢内原忠雄『山中湖畔講習会講話・講演・感想』新地書房、1991年、316頁)
人の一生も一国の行方も聖書とキリストに基礎を置かなければなりません。固い基礎がなければ、人も国も危(あやう)いのです。
キリストに勝てなかった皇帝ユリアヌスの話
今より1660年ほど前に、東ローマ帝国にジュリアン(ユリアヌスJulianus 331/332頃生―336没)と称する皇帝がいました。彼は有名なコンスタンチン大帝の後をうけて帝位につきましたが、信仰の事については大帝の反対に出て、キリスト教を捨て古いローマの宗教に帰りました。
それで後世の歴史家は彼を「背教者のジュリアン」とよびました。彼は英邁(えいまい)の資(たち)を有する統治者でありましたが、キリスト教を帝国内より根絶しようとしました。そしてその計画がほぼ成功して彼がはなはだ得意になっていた時に、彼は東の方、ペルシャ帝国を征服しようと遠征の途に上りました。その時敵の一兵卒が投じた投鎗に当って落馬しました。将(まさ)に死を迎え目を閉じようとするとき、声を放って言ったとのことです。曰(いわ)く「ガリラヤ人よ、汝は終(つい)に我に勝てり」と。彼は凡ての敵に勝ちましたが、ガリラヤ人イエスに勝つことはできませんでした。イエスに対しては、皇帝ジュリアンも敗北を自認して亡くなりました。(1926/大正15年 内村鑑三『聖書の研究』316・317号 現代文。)
この話は言い伝えでしょう。しかし事実としてガリラヤ人イエスに逆らって勝った人は一人もいないと思います。神の独り子イエス・キリストに依り頼む人は幸いです。
神である主、今おられ、かつておられ、やがて来られる方、全能者がこう言われる。「わたしはアルファであり、オメガである。」(黙示録1章8節)