【聖書箇所朗読】
【説教音声ファイル】
2021年8月29日説教要旨
聖書箇所 マタイによる福音書5章9節
天、共に在り
久留米キリスト教会
踊真一郎
世の中には「平和」という言葉が溢れていますが、不思議なことに、人によって「平和」について持っているイメージはバラバラです。中には「平和のために戦争する」という主張すらあるのです。「平和」の意味は口にする人の都合によって変わります。
だからこそ私たちは先ず、「平和とはどういう状態で、どう実現すべきものか」を明確に共有することが大事と思うのです。そこで、今朝は2つのヒントから「平和」について考えてみたいと思います。
1つは2019年に亡くなった中村哲さんの言葉です。著書『天、共に在り』で彼はこう記しています。
信頼は一朝にして築かれるものではない。利害を超え、忍耐を重ね、裏切られても裏切り返さない誠実さこそが、人々の心に触れる。それは武力以上に強固な安全を提供してくれ、人々を動かすことができる。私たちにとって、平和とは理念ではなく現実の力なのだ。私たちは、いとも簡単に戦争と平和を語りすぎる。武力行使によって守られるものとは何か、そして本当に守るべきものは何か、静かに思いをいたすべきかと思われる。
もう1つはイエスさまの言葉マタイ5.9です。
「平和をつくり出す人たちは、さいわいである、彼らは神の子と呼ばれるであろう。」
短い言葉ですが、じっくり調べますと、この言葉には7つのヒントが見出せます。
- 平和(シャローム)は日々、生きている幸いを実感できるもの。
- 平和は誰かが与えてくれるのでなく、「つくり出される」もの。
- 平和を実現するのは民衆である。
- イエスさまは武力を否定する。
- 民衆を「神の子」と呼び、祝福してくださるのは神さま御自身である。
- だから、民衆は自覚的に決断し、生きるよう促される。
- 私たちは「平和をつくり出す」ためにあらゆる違いを超えるよう促されている。
私たちは自分たちを社会の中でちっぽけな存在でしかないと思い込んでいませんか。でも、神さまはその私たちに目を留めてくださり、平和を実現するべく期待してくださっているのです。
さて、私たちはいかにして「平和をつくり出す」のでしょう。共に考えてまいりましょう。