【聖書箇所朗読】
【説教音声ファイル】
2022年5月29日説教要旨
聖書箇所 使徒行伝1章6-11節
天を見上げる
片山 寛
ウクライナでの戦争が続いています。本当に悲しいことですが、それはすべて、人間が天を見上げなくなったことから始まるのだと思います。天を見上げないと、人間はお互いの顔ばかりを見てしまい、するとなぜかお互いに対してひどく腹を立てるのです。そのことを語った小さな物語を御紹介します。
戦争のはじまり
クラウス坊やが父親にたずねました。「パパ、戦争っていったいどうして始まるの。」
「そうだなあ、坊や、つまりね、それは……ちょっと例をあげてみようかね。イギリスがアメリカと何かのことで争っているとしよう……」
すると母親が口をはさみました。「バカなこと言わないでよ、イギリスとアメリカは対立なんかしてないでしょ。」
「俺はそんなことを言ってるんじゃない。ただ例をあげようとしてるだけだよ。」
「そんな馬鹿げたことを言ってると、坊やの頭が混乱するじゃないの。」
「俺が坊やの頭を混乱させるだって。お前の言う通りにしていたら、坊やの頭に何も入りゃしないぞ!」
「何てことを言うの、言っておきますがね……。」
そのときクラウス坊やが言いました。「ありがとうパパ、ママ、ぼくもうわかったよ、どうして戦争が始まるのか。」
Kurzgeschichten I-166