【聖書箇所朗読】
【説教音声ファイル】
2021年9月26日説教要旨
聖書箇所 詩篇119編169〜176節
溢れる賛美
北九州キリスト教会
西野修平
今日は、バッハの平均律クラヴィーア曲集第1巻第1番ハ長調フーガを弾かせていただきます。この曲集は、バッハが鍵盤楽器を学ぼうとする人の助けとなるために、また、音楽を奏でる人の楽しみとなるためにという思いで作ったとバッハ自身が書いています。ピアノには12の音があり、それぞれの音に二つの調が存在するので合計で24の調があります。バッハはそれぞれの調で二つの曲(プレリュードとフーガ)を作ったので、合計48曲もの大作が一つの曲集に収められました。
この曲集が世に出たのが1722年。何と来年で300年を迎えます。来年再びこの曲集が注目され、盛んに演奏されることになるかもしれません。
ある人はこの曲集を音楽の旧約聖書と呼んでいました。そのことからも詩編との近しさを感じる部分があります。
私が今回弾くのは、4声のフーガと呼ばれるものです。プレリュードはシャルル・グノーのアヴェ・マリアの伴奏として用いられているので、聞いたことがある人もいるでしょう。しかし、このフーガに馴染みのある人は少ないかもしれません。私はこの曲の中に教会の響きを感じます。好きな曲ですが、実は、8年前に一度この曲を弾くのを挫折しています。プレリュードは構成が非常にシンプルで弾きやすいです。その勢いでこのフーガに取り掛かると痛い目に遭います。この曲は4つのパートに分かれており、あまりにも複雑でとても覚えきれず、曲全体を捉えきれなかったのです。しかし、今回様々なことが重なり、再びこの曲を弾きたいと思いました。弾いてみたらやっぱり難しくて、やめようかなと何度か思いました。しかし、ある解説を聞いてこの曲が非常にクリアになりました。
フーガというのは一つの短いメロディ(モティーフと呼ばれる)が繰り返し表れて一つの曲になっていきます。4つのパートに分かれてはいても、同じモティーフが、様々な場所で、時には始まりの音を変えながら表れることで一つの曲が出来ているのです。実際に難しい曲ですが、そうやってみると複雑な中にシンプルで一貫した構成を見ることができました。
さて、これが詩編119編とどのように繋がっているのでしょうか?共に御言葉に聴いてまいりましょう。