【説教音声ファイル】
2020年9月20日説教要旨
聖書箇所 マタイ福音書4章1節~11節
荒野の誘惑
梅木 光男
いよいよガリラヤの地から主イエスの福音宣教が始まります。それに合わせてバプテスマをヨハネから受けられ、最後の仕上げとして霊に導かれ荒野での40日40夜の断食を実行されたのです。
本日の箇所はまさに極限状態の中で「誘惑」を経験され、これから始まる厳しい戦いを予兆する出来事です。
この誘惑は3つから成り立っています。最初の誘惑は我々が最も関心が高い「パン」についてです。生きていくためには必要不可欠なものです。断食の一番苦しい時を狙って、サタンは「石をパンに変えたらどうか」と主イエスの使命を見抜いたうえで囁くのです。これに対し主イエスは誰でもが知っている有名な申命記8:3の御言葉を引用して、この試みを退けられたのです。次に巧妙なサタンは旧約聖書の御言葉を引用して第2の誘惑を仕掛けます。それは「エレサレム神殿の華やかな舞台から飛び降りたらどうか」というものです。当時の人々はメシア(救い主)は栄光に包まれて神殿の頂上に現れると信じていたからです。まさに群衆心理につけこんだ問いかけです。これは神を試みる「罪」なのです。これも主イエスは申命記6:16を引用してこの誘惑を拒否されます。
諦めないサタンは最後に主イエスを高い山に連れていってこの世の栄華と繁栄をつぶさに見せて、「この世のすべての栄光をあなたにあげよう。ただし私(サタン)にひれ伏し拝むならば」という条件付き誘惑を提示します。
これは神への信仰を捨てサタンに仕えて拝めという囁きです。現実の生活においてこの世の栄華は我々にとっても、この提案は非常に魅力的です。弱い我々はしばしばこの誘惑に負けそうになりますが、しかし主イエスは強い言葉「サタンよ退け」で断固として拒否されたのです。
この試練を乗り越えられた主イエス・キリストは最終目的であるすべての人々の救いのために「十字架」への道を歩まれることになったのです。