2018年5月27日説教要旨
聖書箇所 マルコによる福音書5章25節~34節
あなたの信仰があなたを救った
梅木 光男
本日は共観福音書すべてに記載されている「ヤイロの娘とイエスの服に触れる女」の箇所で、その中から俗に「長血の女」といわれる部分を切り取ってマルコ福音書5章25~34節のところから「あなたの信仰があなたを救った」と題して考察してみました。
ここの箇所は女性なるがゆえに宗教的社会的差別を受けていた「苦悩」と、その苦悩からの主イエスによる「癒し」そして「救い」が迫真性を持って我々に迫ってきます。12年もの期間に亘って病気に悩まされていた女は医者からも見捨てられ財産も無くし、社会からも隔絶されて絶望のなかで過ごしていました。そのとき主イエスの宣教活動と奇跡の癒しのうわさを聞きつけ、ひょっとすると主イエスに触れば病気が治るかもとの期待で出かけました。大勢の群衆が押し寄せていましたが、それでもなんとか主イエスの服に触れることができました。この瞬間病気が癒され、それと同時に主イエスも力が出て行くのを感じられました。そこでイエスは群衆に、「触ったのは誰か?」と問われます。その問いに耐えきれず、女が震えつつ真実を語ったところ、主イエスから上記のような祝福が与えられたという物語です。このときに病気に伴う諸々の社会的苦しみからすべて救われたことを意味しています。主イエスの女に対する愛と慈しみとイエスに対する彼女の「信頼」の故に、人間としての彼女の尊厳性が回復したと宣言されたのです。
私たちは主イエスと向き合い、共に歩むところに信仰の基本があります。周囲の思惑や視線から離れ、ただひとりみ前に立ち、主イエスの語られる御言葉を聴き、耳に響かせ、心にその言葉を刻みこんで日々の生活に活かしていくことが求められています。さあ我々も恐れることなく喜びと希望をもって主イエスの元にはせ参じましょう。