2018年3月11日説教要旨 聖書 士師記16章20節~31節
『サムソンの話―怪力の秘密』 瀬戸毅義
サムソンの事績は士師記13章~16章に書かれている。サムソンとは「太陽の人」の意。ベテシメシ(「太陽の家」の意味)の近くに生まれたのでそう名付けられた。ヨシュアの死後170年の間イスラエルに王は無く、士師と言われた人たちがイスラエルを治めた。サムソンはその中の一人である。彼は強敵ペリシテ人に独力で立ち向かった怪力無双の男である。武器を持たず驢馬の顎骨で千人の敵を倒した。或る時は敵の支配する町に閉じ込められたがあっさりと脱出した。その際町の門の扉、門柱、かんぬきを引き抜き、山上まで運び敵の度肝を抜いたのである。
余りの強さに手を焼いたペリシテの領主たちは、サムソンが惚れていたデリラという女性に大金を握らせ、彼女に力の秘密を探ってもらおうとした。
結局サムソンは秘密を打ち明けることになって悲劇的な最後を遂げるのである。清教徒詩人ミルトンの『闘士サムソン』(Samson Agonistes)はこの聖書の記事を題材にした有名な文学作品である。
眠っている間に髪の毛を剃られたサムソンは、ペリシテ人が襲って來るとのデリラの声に目を覚まし、いつものように反撃しようとしたがもう力は去っていた。怪力無双の力は神与のもので自らのものではなかった。彼の力は毛髪そのものには無い。神の約束に基づきサムソンがナジル人の誓願を守ることによってサムソンに偉大な力が与えられたのである。捕らわれて、彼の両眼は抉り取られた。盲目の彼は青銅の足かせをされ牢獄に繋がれる身となった。どん底まで堕ちて、彼は絶望の淵から心を籠めて神に祈った。神は今一度サムソンに力を与えられたのである。
參孫 参孫(サムソン)
怪力士師方耐憐 怪力(かいりき)の士師(しし) 方(まさ)に憐(あわれ)むに耐(た)えたり
竟爲瞽者思凄然 竟(つい)に瞽(こ)者(しゃ)と為(な)り 思(おも)い凄(せい)然(ぜん)
捨身壞屋誅仇敵 身(み)を捨(す)て屋(おく)を壊(こわ)し 仇敵(きゅうてき)を誅(ちゅう)す
舊國悲哀萬世傳 旧国(きゅうこく)の悲哀(ひあい) 万世(ばんせい)に伝(つた)わる
士師=むかし、司法官のこと 瞽者=盲人 捨身=落命 壊屋=建物を壊す 舊國=古くからある国 萬世=長い年月