【聖書箇所朗読】
【説教音声ファイル】
2024年9月29日説教要旨
聖書箇所 ルカによる福音書19章1節~10節
ザアカイ
梅木 光男
本日の聖書箇所はとても有名で誰でも馴染みのある出来事です。それだけに内容は簡潔で分かり易く平易です。しかし含蓄のある内容で我々が見落としがちな信仰のツボが隠されています。
場所はエリコ、エレサレムに近く交通の要諦で人々から通行税や諸関税を徴収する税務事務所が設置されていました。ザアカイはその頭で非常に金持ちであったと聖書は記しています。なぜなら彼らは規定以上の税金を徴収して私腹を肥やしていたからです。当然同胞であるイスラエルの民からは罪びととして差別され疎んじられる存在でした。もう一つのザアカイの特徴は「背が低かった」とあります。恐らく身体的コンプレックスの為に人々からの差別や無視に対抗して地位を利用して不正な富を蓄え富による「優越感」だけで生きて来たと思われます。そんな折、噂で聞いたイエスがエリコに来られると聞き、居ても立っても居られないとイエスを見に出かけますが、人々から邪魔され恥も外聞も忘れてイチジク桑の木に登って何とかイエスを見たいと願っていました。
その時主イエスから声を掛けて「ザアカイ、急いでおりて来なさい。今日あなたの家に泊まることになっている」との驚きの言葉が与えられたのです。ザアカイは喜び多くの仲間たちを含め主イエスや弟子たちを自宅に招き食事を共にしたのです。ザアカイは主イエスを受け入れて救いの喜びに満たされました。そこで「貧しい人々に全財産の半分を分け与え、不正な取り立てをした人に4倍の賠償を行います」と常識を超える意思表示がなされています。自己中心の世界から他人に喜びと慰めを与える広い世界へ出ていったのです。
ここに主イエスによって救われた者の新しい生き方が例示されています。まさに古い自分は過ぎ去り新しい自分に生き返り愛の実践が実行されたのです。我々も主イエスとの出会いによって罪を認め新しい人生への挑戦が求められているのではないでしょうか。