【聖書箇所朗読】
【説教音声ファイル】
2023年7月1日説教要旨
聖書箇所 テサロニケ一1章1~10節
主に倣う者
諸岡 寛
「教会」ということばを新約聖書で最初に使っているのは、パウロの手紙です。彼が最初に書いた手紙、「テサロニケ人(びと)への第一の手紙」の1章の最初です。「パウロとシルワノとテモテから、父なる神と主イエス・キリストとにあるテサロニケ人たちの教会へ。恵みと平和が、あなたがたにあるように」と。 素晴らしい挨拶文です。
教会の十字架を見上げると、常にイエス・キリストに結ばれていることを実感します。そして教会は付近の住民から注目されています。車で通る人、歩いて通る人、さらに電車から眺める人もいて、周囲から見られていることを実感します。そしてその方々一人一人に私たちはキリストの福音を伝えていく使命があることを思わされます。そして教会の中に入ると、イエス・キリストの教会の体の一部に自分自身が組み込まれてしまいます。これもパウロ直筆のコリント人への第一の手紙12章で語られる「教会はキリストの体」であることを強く実感するのです。
さて、テサロニケはパウロの宣教旅行の地図を見ると、エルサレムから一番遠いところにあります。テサロニケはマケドニア州最大の港湾都市であり、マケドニア州の首都で、ローマ総督居住地でした。12万もの人が住み、ユダヤ人も多い都市でした。
そこでパウロはいつもの様に先ずユダヤ人の会堂に入り、ユダヤ人にイエスの福音を伝えた。ここでも何人かの人はよく理解し、信心深いギリシア人や町の有力な婦人たちは信仰に入ったが、ユダヤ人で主イエスを信じる人はあまりいなかったのです。主イエスの救いはまずユダヤ人に語られたはずなのに、それを妬んで迫害を始めるユダヤ人が出てきたのでした。そこでヤソンとその仲間は捕らえられ、ヤソンの家に身を寄せていたパウロとシラスは、テモテをおいて夜のうちにテサロニケを脱出するのです。パウロとシラスは命がけの旅を続けるのでした。
このことから分かることは、パウロの宣教はむしろ異邦人に届いたということです。2章13節「これらのことを考えて、わたしたちがまた絶えず神に感謝しているのは、あなたがたがわたしたちの説いた神の言(ことば)を聞いた時に、それを人間の言葉としてではなく、神の言(ことば)として、事実そのとおりであるが、受けいれてくれたことである。そして、この神の言(ことば)はあなたがたのうちに働いているのである。」
「神の言葉には、働きがある」ことをパウロは強調しています。「働き」はギリシア語では「エネルゲイア」、英語のエネルギーの語源です。聖書では人間の力を表すには決して用いられず、常に人間とこの世の力を超える力の働きを言う時に用いられ、主として神御自身の働きを述べるのに用いられます。それは単なるパワーではなく、「目的があり、意味深く、効果的で、精力的な活動を指す」ということです。