【聖書箇所朗読】
【説教音声ファイル】
2025年3月16日説教要旨
聖書箇所 ルカによる福音書18章9節~14節
二人の祈り
梅木 光男
本日の聖書箇所はパリサイ人と徴税人という対照的な二人が神殿で祈る姿が描かれており、信仰を示す礼拝の在り方が問われています。主イエスがたとえ話として紹介していますが、ほんとにあったのではないかと思われる出来事です。
パリサイ人は自分を義人だと自認して他人を見下しており、自分の行為と律法遵守を誇っているのです。それは彼の祈りの内容を見ると歴然とわかります。まさに神の民としてその正しさと行為を誇っているのです。するとその傍らに徴税人がいて、彼と比較して祈りの中で自分の正しさ・律法遵守を誇ってしまう「罪」に陥ってしまうのです。神に目を向けるのではなく他人との比較の中で自分の義を誇る傲慢さがあったのです。
これに対し徴税人は目を天に上げようとせず、胸を打ちながら「神様、罪人の私を憐れんで下さい」と祈りというよりも叫びに近いものでした。徴税人は当時の人々から忌み嫌われ蔑みの対象であり、罪人そのものであったからです。それをよく理解していた徴税人は神殿から離れたところでただ神の憐れみと救いだけを求め、神だけを見つめ恵みの神にすべてを委ねています。ここに主イエスが地上において見たいと願っておられた信仰がこの徴税人の祈り、いや「うめき」にあって、それを称賛されたのです。
我々はこのパリサイ人にも徴税人にもなりうるのです。他人との比較の中でいつも自分を正当化して傲慢になったり、逆に自己不信に陥ることがあります。神の眼差しにさらされる時に誰が一体、本当に耐えうることができるでしょうか?それはこの徴税人のように他人との比較ではなくただ私を憐れんで下さいという真実な祈りしか無いことを覚えて、神の愛と恵みと救いの中で平安と喜びに満ち、希望の光へと歩んで行きたいと願っています。