聖書箇所:創世記2:18~25
妻と夫の出会いは、男と女が単に出会うということではなくて、ひとりと他のひとりが人格的に向き合う関係です。神様は、両者が互いに「助ける者」となるように人を創造されたのです。この神様の創造の意志と働きがあるゆえに、「人が独りでいるのは良くない」のです。
2:4以下に記される人間の創造物語は、豊かなドラマの連続です。それを記した人びとは、どのような時代に生き、どのような問題意識をもっていたのでしょうか。
おそらく、イスラエル王国の経済的な繁栄は、貧富の差が大きくし、お金がすべての価値を支配する社会となっていたことでしょう。その結果、人と人との命の出会いが失くなり、人と自然との調和が崩れ、神と人との命の響き合いが薄れていく状況の中で、「自分たちはどのような存在として造られたのか」を問うた人々がいたのでしょう。
そして、この創造物語は、「人間は、交わりの中で生きることこそ、本来の姿だ」ということを描いた物語として、記憶されたのではないでしょうか。従って、これは、同じような状況の中に生きている私たちに向けての、警告の物語でもあるのです。
自由経済主義による競争原理が奨励され、学校教育では能力による選別を公然と評価し、労働の場では経済格差を助長するなど、いずれも家族の破壊につながる対策が進められています。実は、少子化対策と子育て支援策は「国力」を念頭に置いてのことなのです。
その結果、精神を病む人、自殺する人が益々増えています。独居老人の死も急カーブで上昇しています。大きな社会問題です。神様は人と人とが向かい合い、助けあうように人間を創造されたのに、現在の社会は、それに反するようなことばかりをしています。
創世記2章は、単に男女の結婚の話しだけでなく、「人と人との関係は、互いの弱さも認めながら、共に助け合って生きる者同士のつながりだ」ということを教えています。創世記2章4-25節のわずか22節のみ言葉が、「人間とは何か」「男と女とは何か」「人間と世界との関係は何か」「ほんとうのしあわせとは何か」という人間の根源的な問題を考えさせます。
(2014.6.15)岩橋隆二牧師説教より