【聖書箇所朗読】
【説教音声ファイル】
2024年4月7日説教要旨
聖書箇所 ヨハネ福音書1章35~42節
出会いから
原田 寛
使徒パウロは、「信仰は、キリストの言葉を聞くことによってはじまる」(ローマ10章17節)と記しました。また、「御言葉はあなたの近くにあり、あなたの口、あなたの心にある。」(ローマ10章8節)とも記しています。私は、この御言葉を通して、イエス・キリストを第三者的にではなく、イエス・キリストご自身がいろいろな課題に取り組む自分と向き合って下さったり、寄り添っておられるようなそのような場面を思います。
イエス・キリストの12弟子のひとりアンデレは、ヨハネ福音書によれば、一番最初に、イエスと出会った弟子です。彼は、バプテスマのヨハネの弟子であったと思われますが、ヨハネからイエスを「神の小羊だ」と紹介されたことがイエスとの出会いに繋がっていったことがわかります。そして、一晩でアンデレの心はイエスがメシアであることを理解し、自分の思いを兄弟シモン(ペトロ)に伝えることができたのです。この伝道は、シモンをイエスの元に導きます。
アンデレという名前は、もともとギリシャ語の名前で、ヘブライ語名は不明です。(意味は「男らしい」「雄々しい」)。ガリラヤがギリシャやローマの文化と近かったという意味で、ヘブライ語名そのものがなかったのかもしれません。彼は、ガリラヤのベトサイダ出身、シモンの兄弟アンデレと紹介されます。マルコ福音書においては、12弟子の中で4番目(マタイとルカではシモンの兄弟アンデレと2番目)に記されています。筆頭はペトロ(シモン)、そして、ヤコブとヨハネ、次にアンデレです。ペトロとヤコブとヨハネは、イエスに同行することが多かったようですが、アンデレはついて行ってないようです。ヨハネ12章20節以下ではギリシャ人をフィリポと共にイエスに取り次いでいます。このようなことから、アンデレは、自分の役割を理解し、その働きを担うことで信頼を集めていたのではないでしょうか。このようにアンデレは、日ごろから堅実でイエスからも周りからも信頼されており、フィリポと共によく働く人物ではなかっただろうかと思います。
改めて、イエスとアンデレのやり取りを読んでみてください。「どこにお泊りですか」と問うアンデレ。「来なさい。そうすればわかる」と応えるイエス。そして、ついていき共に過ごして信頼し合う師弟となるのです。ここに、心を開いて受け入れてくださるイエス・キリストと心を開いて委ねていくアンデレのやりとりがあった。
信仰とは、「キリストの言葉を聞くことによってはじまる」のです。そのことは、イエスとアンデレとの出会いから始まったのです。その出会いの出来事は、今日も続けられ、わたしたちもこの出会いにより、主イエスの恵みにあずかるものとなっています。