2022年3月27日説教要旨
聖書箇所 ルカ福音書19章1節~10節
友なき者の友
梅木 光男
2021年度最後の礼拝となります。振り返ると新型コロナウイルスの影響で日常生活や社会経済にも大きな変化があり、今まで見えていなかったものが浮き彫りになり本当に大切なものは何かが問われています。
本日の聖書箇所は有名な「ザアカイと主イエスとの出会い」話です。ザアカイはエリコの町で取税人の頭で金持ちであったが、イスラエルの民からは憎しみ、軽蔑、差別、疎外の眼差しにさらされていました。それは律法を知らない不浄な異邦人ローマ帝国の手先きとなって、自国民から税金を取り立てていたこと、また、しばしば本来徴収すべき額を超えて取り立てて私腹を肥やしていたからです。
主イエスは主イエスを一目見るためにいちじく桑の木に登っていたこの被差別者であるザアカイに向かって「ザアカイ、今日あなたの家に泊まることにしている」と呼びかれたのです。するとザアカイは驚きと喜びにあふれ急いで木から下りて自分の家に招き食事の席を設けたと聖書は記しています。群衆たちは驚き訝しげに「なぜ罪人と食事をするのか」とつぶやくのです。罪人の代表ともいえるザアカイの家で祝宴が行われるとは!ザアカイは主イエスとの出会いによって頑な心は打ち砕かれ救いの喜びを実感していました。自らの意思で「財産の半分を貧しい人に施す事、また不正な取り立てがあれば4倍にして返す」ことを宣言します。まさに自分の罪の大きさと反省の深さが伺えられます。これに対して主イエスは「今日救いがこの家に来た。この人もアブラハムの子である」と述べられたのです。まさにザアカイの友となり彼が神の民の一員としてアブラハムの祝福に与る救いと恵みの業に接したのです。救いは罪が赦され永遠の命の保証にとどまらず、人々を祝福し、施し、キリスト・イエスを伝え、神の国へ導く人生を意味します。我々もザアカイのように救いの喜びを主に感謝しよう!