【聖書箇所朗読】
【説教音声ファイル】
2023年9月24日説教要約
聖書箇所 詩篇114編1~8節
希望の信仰
宗広 一美
詩篇は、およそ紀元前1400年ころから紀元前500年ころまでの長期に渡って集められた歌集です。伝統的には、5つの編集されたものが、一つにまとめられたと考えられています。詩篇1編から41編までを第一巻。42編から72編までを第二巻。73編から89編までを第三巻。90編から106編までを第四巻。107編から150編までを第五巻と考えられて来ました。
この内、詩篇73編から89編は、バビロン捕囚の時期に歌われています。そしてこのバビロン捕囚を機に歌の様相が変わって来ます。それはモーセの時代、イスラエルの人々が神様との関係がより親密だった時代への回帰とも言うべきものです。バビロン捕囚は、イスラエルの民に王の喪失、神殿の喪失、土地の喪失という強烈なダメージを与えました。彼らの信仰の基盤となっていたものが、失われたのです。しかしもっとも致命的であったことは、モーセを通して民に与えられた十戒の<みことば>を見失ったことでした。
それ故に、モーセを通して<みことば>が与えられた時代への回帰が、詩篇90編以降に歌われて来ます。詩篇90編の見出しに「祈り、神の人モーセの詩」とあることは、このことを示しています。90編以降は、バビロン捕囚からの解放とエルサレムへの帰還の年月に入ると考えられています。しかしこの帰還は廃墟となったエルサレムへの帰還であり、一体これからどうやっていけばいいのか全く分からなくさせられた時期でもありました。王も神殿も土地さえもはっきりとしなくなっていました。確かなる信仰、はっきりとした神様からの<みことば>が乞い求められていました。
そこでイエス様の示されたものは、私たちすべての人間にとって、最も必要な物は、王でもなく、神殿でもなく、土地でもありませんでした。それは、<みことば>でした。それも十字架復活の愛の<みことば>でした。いわく“わたしがあなたがたを愛したように、互いに愛し合いなさい。これがわたしの掟である。”です。なぜならこの愛の戒めが支配する国こそが、神の国を示しているからです。この戒めを先頭に神の国を目指す信仰にこそ愛の助けがあるからです。