【聖書箇所朗読】
【説教音声ファイル】
2025年5月4日説教要旨
聖書箇所 コロサイの信徒への手紙1章24~29節
心の内に働く力
原田 寛
世の初めから代々に渡って隠されていた「秘められた計画」が、今や、神の聖なる者たちに明らかにされた。その計画は「あなたがたの内におられるキリスト、栄光の希望だ」と記します。
この「秘められた計画」は、「世の初め」ということばで、人間が創造された時からあった事柄であることが解ります。隠されてきたことが明らかになった神の計画は、十字架につけられて殺されたイエス・キリストによる人々の救いの計画です。
このキリストによってあらわされた「秘められた計画」を伝えるために、著者パウロは牢獄に囚われているのですが、著者パウロは、その苦しみについて「キリストの苦しみの欠けたところを身をもって満たしています」と記します。難解な一文と言われているものですが、それは、「キリストの苦難には欠けたところがあるので、パウロが補っている」というのか「キリストのために苦しむ」ということなのか「パウロの苦難がキリストの苦しみ一致する苦難ということ」なのか議論があるということです。しかし、いずれにせよ、キリストのために苦しむことは喜びだと断言します。真の神が表している「栄光の希望」に仕えることだからです。
このような「喜び」は、教会の歴史的な事柄に結びついていくのです。この手紙は、投獄されているローマで執筆したと言われています。苦しみの只中にあっても希望を失わない著者パウロの姿勢に学びたいと思います。この希望が、厳しい時代の中にあっても、教会の目的が達成されていくのです。キリスト教のバックボーンはユダヤ教でしたが、イエス・キリストによって神の「秘められた計画」が明らかにされます。そして、使徒たちの時代、多くの人々に伝えられ、ローマ帝国内外に拡がっていきます。そして、様々な問いが与えられる中で信仰の内容が言葉化され明らかにされていきます。そして「使徒信条」といわれる信条が生まれます。これは、1世紀後半から2世紀にかけてローマで洗礼が行われる際に用いられていたと言われています。そして、三位一体の事柄を明確にしたニケア信条に繋がっていきます。心の内に働く力が人の思いを越えて形作っていくものがあるのです。
私たちの教会も他のバプテスト教会も、他派の教会も、後を継ぐ世代が与えられるようにと祈っています。その意味で今の時代は、新たな「難」時代と考えられます。「難」時代だからこそ、使徒教父の時代のように新しい何かが生み出されようとしているのかもしれません。また、主の再臨がいよいよ近いという時代になっているのかもしれません。このような信仰と希望を受け取る人たちは、幸いです。