今年も早や8月末になりました。例年ならばこの時期、ツクツクボウシが忙しく秋の到来を告げ、夜にはこおろぎや鈴虫の声が響くのですが、今年は長雨のせいか虫の声は細く感じます。昆虫少年だった私は、古希を過ぎても虫の季節が好きで、過ぎゆこうとする夏の日々をいとおしんでいます。
今夏は、蚊が少なかったと思います。新聞記事には雨が多かったことが原因だと書かれていましたが、蚊から好かれる体質の私にとっては、とても喜ばしいことでした。蚊取り線香の出番がなかったのは珍しいことです。皆さんも多分蚊スプレーを使う機会が少なかったことでしょう。
ところで、私の家族を始め周りの人たちの殆どが、虫をあまり好きではありません。私が虫の話をすると、眉をひそめるか真面目に聞こうとはしません。辛うじて小学3年の孫が耳を傾けてくれるくらいです。一体、虫は厄介者なのでしょうか? 虫の全てが悪者なのでしょうか? 虫にでくわすたびに戦闘態勢に入るのではなく、少し虫の世界を学んでみませんか。なにしろ虫の数は、人間ひとりに対して数億匹いるのですから。
この驚くべき被造物にちょっと目を向けるだけで、昆虫が高く評価されるべき存在であることが理解できるかもしれません。多くの昆虫の目は羅針盤の役割を果たします。例えば、ミツバチやスズメバチは、曇り空でも太陽の位置を知ることができます。この能力により巣から遠く離れた所まで餌を取りに行っても、間違いなく巣に戻ることができるのです。昆虫の世界では、ほとんどの種類にそれぞれ異なった役割があります。
昆虫は、私たちの日常生活の中で重要な役割を果たしています。私たちが口にする食べ物のおよそ3割は、殆どの場合野生のミツバチが行う受粉に依存しています。そして昆虫は、枯れた植物や死んだ動物を再処理し、効率よく地球を清潔に保ってくれています。このような昆虫の働きによって、土壌は肥え、いろいろなものが成長できているのです。「昆虫がいなければ、どこもかしこも枯れた植物や死んだ動物の残骸だらけになることだろう」と昆虫学者のクリストファー・オトゥールは語っています。
ソロモン王はアリを観察して語っています。「怠け者は、蟻の所へ行き、そのすることを見て、賢くなりなさい。蟻には命令する者も、監督する者も、支配する者もいないのに、夏のうちに食糧を蓄え、収穫の時に、食物を集めておく。」(箴言6:6-8)
2014.8.31 岩橋 隆二