【聖書箇所朗読】
【説教音声ファイル】
2021年10月31日説教要旨
聖書箇所 ローマの信徒への手紙12章1-8節
神さまが造ったわたしたちだから
久留米キリスト教会
踊 真一郎
秋も深まってきました。あとひと月すればアドベントが始まります。今年度も7か月が過ぎますが、私たちはこの7か月、どう過ごしてきたでしょうか。21年度の筑紫野南教会の年間目標は「主イエス・キリストにおいて成長する」ですね。この7か月、皆さんはどう成長しておられるでしょうか。「目の前に追われてバタバタ過ごしてきただけで、成長と言われても…」と思う方もあるかもしれません。心情としてはとても共感します。でも振り返ってみるとき、私はこの期間も、イエスさまから祝福され、成長をいただいていると思うのです。その成長とは何か。それが今朝の説教のテーマです。
今朝の聖書箇所はローマ12.1-8です。ローマ書はパウロの最後の手紙です。1-11章までは「信仰義認」とか「律法や割礼の問題」、「ユダヤ人と異邦人について」など、神学議論が続きます。今朝の12章からはそれらの議論を受けて、「では、クリスチャンとはどう生きるのか」が書かれていきます。その始まりの言葉が今朝の箇所です。
1節でパウロはローマの教会に対して「神のあわれみによって勧める。あなたがたのからだを、神に喜ばれる、生きた、聖なる供え物としてささげなさい。それが、あなたがたのなすべき霊的な礼拝である」と語りました。具体的に何を言っているのか、分かりにくいです。読み解くヒントは2節です。「あなたがたは、この世と妥協してはならない。むしろ、心を新たにすることによって、造りかえられ、何が神の御旨であるか、何が善であって、神に喜ばれ、かつ全きことであるかを、わきまえ知るべきである。」日本語ではわかりにくいのですが、原文であるギリシア語を見ますと、「この世と妥協する」という言葉と「造りかえられ」という言葉は、どちらも「形作る」という意味を持つ、2つのギリシア語が使い分けられています。
「この世と妥協する」はスキーマというギリシア語です。ニュアンスは「既に決まった形があって、その形に形成されていく」という「形作る」です。一方、「造りかえられなさい」はモルフェーというギリシア語です。そのニュアンスは「1つ1つが手作り、オリジナルで形作られていく」という感覚です。パウロが示すイメージは「あなたたちは、時代の風潮や価値観に染められて自分を形作るのでなく、神さまがあなたがた一人ひとりに最も適したものとして与えてくださった個性を大事に、自分らしく生きていきなさい」なのです。
そんな一人ひとりであればこそ、パウロは続けて「共に生きる」ことを語っていきます。今朝もご一緒にみことばを深めていきましょう。