【聖書箇所朗読】
【説教音声ファイル】
2025年5月11日説教要旨
聖書箇所 コロサイの信徒への手紙2章1~5節
秘められた神の計画
原田 寛
著者パウロは、コロサイとラオディキアの信徒たちと会ったことはありませんが、苦労して闘っていると伝えます。それは、「霊的な」闘いという言い方が良いのかもしれません。
「秘められた計画」というのは、第一コリント2章6節以下でイザヤ書64章3節と65章17節を一部引用して「目が見もせず、耳が聞きもせず、人の心に思い浮かびもしなかったことを、神はご自分を愛する者たちに準備された」と言ってパウロが展開しています。
コロサイやラオディキアの教会に影響を与えていたと思われるエビオン派のキリスト者は、主に初期のユダヤ人キリスト者でした。彼らは、創造主の神のみを信じ、キリストの神性を否定しました。彼らは、律法を守ることによってイエスがキリストになったと考え、パウロを律法に背く者として退けていたと言われています。そして、エビオン派は、ユダヤ戦争におけるエルサレム陥落後、グノーシスになっていったと考えられています。
イエス・キリストの十字架の死と三日目の復活は、最重要の事柄です。パウロは、この点を強調し、信仰の土台にしていくのです。イエス・キリストはすべての人の罪のために十字架につけられ殺されたこと、三日目に復活されたことが昔も今も重要であり、神の愛が表された救いの恵みがここにあるのです。
しかしながら多くのユダヤ人は、ユダヤ教を人生の土台にしていました。イエス・キリストのことは、「誰も知らなかった。秘められた神の計画」でした。預言者は、神より預かった言葉を知らせましたが、人々は神の計画を悟ることができませんでした。神の知恵と知識は、このキリストに隠されていると著者パウロは表現します。使徒たちによって異邦人に広げられた神の知恵と知識は、エパフラスを通して確かにコロサイとラオディキアに定着したのでした。
福音がユダヤ人から異邦人への展開していくことは、大きな変革と言えることでしょう。
宗教改革から産業革命、二度にわたる世界大戦。その間に、地球上の人口は10倍に膨れ上がっています。そして、世界各地の情報が入ってきます。メディアが伝えていることに合わせて、個人的にSNSなどで伝えている情報もあります。人と人とが近くなり、大きかった地球が小さくなっていると思います。小さくなった世界でも社会が分断されている現状があります。文化が進化していく中で個人主義化が進んでいるとも言われています。新たな変革の時代を迎えているのかもしれません。主イエス・キリストによる眞の福音を知らなければならない人たちがいる。その人たちに届くように、私たちの証を共に発信していきましょう。