【聖書箇所朗読】

【説教音声ファイル】

2018年12月23日説教要旨
聖書箇所　ルカによる福音書2章8節～20節

羊飼いと天使

梅木　光男

　本日はクリスマス礼拝です。子供の頃クリスマスを本当に待ちわびた思い出があります。ルカ福音書2章8～20節では羊飼いたちに天使が現れ、救い主(メシア)は誕生したという大きな喜びを告げるとともに、天の軍勢が加わって「神に栄光、地に平和、御心に適う人にあれ」と賛美する言葉が告げられました。当時忌み嫌われていた羊飼いに最初にメシア誕生が語られ暗闇を照らす「光」として示されています。我々の常識ではダビデの再来として立派な宮殿や人々が驚嘆するような形でメシア誕生物語をイメージされます。ところが聖書が示すメシアは全く正反対の状況なのです。ダビデの末裔とはいえ無名なヨセフとマリアとの間に生まれ(もっとも処女降誕ですが)、しかも宿屋が一杯の為飼い葉おけに寝かせられている姿に誰がメシアを想像することができるのでしょうか？当時はローマ帝国の支配下にあったイスラエルの民は過去の栄光を取り戻してくれる救世主を待望していました。政治的にも経済的にも君臨するこの世の「王様」です。

　しかし、神様は最も世間から疎んじられていた羊飼いらに天使たちが告知しその知らせを喜びと驚きをもって、ベツレヘムに出かけ天使が知らしめた出来事を見るために行動を起こします。そして幼子を探し当てすべてを理解するとともに、神をあがめ、賛美しながら帰途についたと聖書は記しています。

　ここに神様の大きな救いの業と愛が示され、それに応える私たちの姿が窺えます。社会の底辺にいる人々に喜びと平和、愛と命を示しそれもすべての民へ貧富や人種、国籍などを超えてこの人々を救う使命を愛する子イエスに託されたのです。またこの御心を羊飼いらは「頭」ではなく「心」で理解して行動し、かつ他の人々に語り告げ、神を賛美しその栄光を称えたところにこの物語の本質があるのではないでしょうか。

　いま私たちはこの羊飼いたちの態度行動理解を吟味するとともに、2000年前救い主を待ち望んだイスラエルの人々のように「主来たりまえ」と主イエスの再臨をろうそくの火のように静かに熱く祈り求めていくことが必要なことではないでしょうか。