【聖書箇所朗読】
【説教音声ファイル】
2025年12月21日説教要旨
聖書箇所 マタイによる福音書2章1~12節
預言のことばを受け入れた人たち
原田 寛
東方の「博士」は、ギリシャ語で「マギ」といいます。「マギ」は、ヘロドトスという歴史家によるとペルシャの宗教の中で祭司職に就いていたと言われます。彼らは、天文学あるいは占星術に携わっていたメディアの一部族にさかのぼるのだそうです。
エジプトの暦で「メソリ」という月があります。博士たちは、その月の最初の日におとめ座のシリウスが夜明け近くにのぼってきて異常に光ったことを見逃しませんでした。「メソリ」は「王子の誕生」という意味で、古代の占星術者たちは、星の出現を偉大な王の誕生を告げていると信じて疑わなかったということです。マタイ福音書2章9節は、「星が先立って進む」と記されています。星が動くというのは、現実の夜空では、彗星か流星です。ハレー彗星は、紀元前11年に地球に接近しました。肉眼でもしっかりと確認できたでしょう。木星と土星の異常接近による強烈に輝く星は、紀元前7年に登場します。
さて、異常な星の輝きに魅了された三人の博士が旅に出ることを決めたのです。その星の発見が「偉大な王」の誕生を意味していると考えたからです。彼らは、場所を特定するのに聖書の御言葉に出会うのです。民数記24章17節「わたしには彼が見える。しかし、今はいない。彼を仰いでいる。しかし、間近ではない。ひとつの星がヤコブから進み出る。ひとつの笏がイスラエルから立ち上がり・・・」とあり、「星」と「(王の)笏」について記され、ひとりの人の登場が告げられるのです。聖書の預言は、イエス様ではなくダビデやソロモンと考えることも可能ですが、博士たちは、その時代の「王の誕生」と結びつけます。
彼らの出身地がメディアなら、距離は、1800~2000㎞もあります。数カ月を要する旅だったでしょう。旅の目的は、聖書の預言の成就を確認する旅で、その子の人生に「黄金と乳香と没薬」を献上して参与するというものです。莫大なお金と時間が必要で、彼らには、身代をかけても良いと思えるような一世一代の価値がありました。
そして、その旅先のエルサレムで、時の領主ヘロデを訪問します。生まれるのが王子ならば、当然、王宮に生まれるからです。しかし、そうではなかった。彼らは、ミカ書の預言と星の再発見によってイエスの誕生の場「ベツレヘム」に導かれます。そして、家畜小屋の飼い葉桶に寝かせられている生まれたばかりのイエス様に出会うのです。彼らは、聖書の神を信じることの確かさを御子に出会って思ったでしょう。そして、用意した宝物をささげたのです。
黄金は、王への献上品です。神の偉大な王にふさわしい贈り物です。乳香は、人の罪を赦し、病を癒し、様々な苦しみから解放し神のもとへと導く祭司への贈り物です。そして、没薬はすべての人の罪を背負って死ぬ者への贈り物です。御子イエスこそは、すべての人のために十字架にかかって死んでくださった方です。
博士たちは、出会うことが許されたこと、そして、神が御子イエス・キリストとの出会いを導いておられることを心から喜んだでしょう。だから、そのあとに見た「夢」を理解できたのです。彼らは、語られてきた預言の言葉を受け入れた人たちです。受け入れるためには御言葉を信じることが肝要なことだったでしょう。信じたから、御子に出会えたのです。
![]()






