2017年6月4日説教要旨 聖書箇所:ルツ記2章1節~7節
「落穂拾い」 梅木 光男
今日はキリスト教の暦ではペンテコステ「聖霊降臨日」です。イエス・キリストの復活後50日目にあたるこの日に、弟子たちの上に聖霊(イエス様の霊)が降臨したのを記念する日です。降誕日(クリスマス)、復活日(イースター)とともにキリスト教会の三大祭りです。ペンテコステは50日目を意味するギリシャ語で、五旬節と訳されていますが、ユダヤ教にとっても過越しの祭りや仮庵の祭りと並ぶ三大祭の一つで、過越しの祭りから7週過ぎた50日目にあたり、穀物の収穫と神から律法を授けられたことを感謝する祭りです。この五旬節の日、ユダヤ教では、旧約聖書のルツ記が会堂で朗読されてきました。五旬節の時期がちょうど麦秋(麦の取り入れをする季節、初夏の頃)にあたるので、大麦の収穫の時期の落穂拾いがきっかけとなり主人公ルツが夫の親戚ボアズと再婚することになるこの美しい物語が読まれるのにふさわしいと思われてきたのかもしれません。ボアズとの間に生まれた子がやがてダビデ王の祖父となり、異邦人(ユダヤ人でない)の女であるルツが救い主イエス・キリストの系図(マタイ1章)に名前を連ねることとなります。このルツ記のあらすじは以下の通りです。
ユダヤ人のエリメレクとその家族は、ユダのベツレヘムから飢饉をのがれてモアブの地に寄留したが、その地でエリメレクとふたりの息子は死に、妻ナオミと息子の嫁2人が残された。ナオミは嫁たちと別れて故郷へ帰ろうとしたが、そのひとりルツは姑に従ってベツレヘムに帰り、夫の親族のボアズの畑で落穂拾いをして暮らしたが、ボアズは親族の義務(創19:30)を果たす為、ルツと結婚する。やがてルツは男子を産み、その子孫からダビデが出る。
ルツ記は困難な状況のさなかにある神のめぐみの物語です。ルツの物語は、不従順と偶像礼拝と暴力の時代に書かれました。とてつもなく深い絶望と危機の時代においても、神への従順と信仰を持ち続けた人々に神のわざが現されました。ボアズがルツを買い戻すのは、イエス・キリストが十字架によって私たちを贖(あがな)うことの予徴(型)です。ルツと同じ様に私たちも、何の希望もなく、神の国に全くあずからない外国人ですが、私たちがキリストを信じてすべてを主にゆだねる時、神は私たちを救い、赦し、祝福し、永遠の生命へと導いて下さるのです。