2017年6月25日 説教要旨 「ノアと箱舟」 梅木幸子
聖書箇所:創世記6章11節~22節、7章11節~8章22節
梅雨の時期に、私たちは大雨による水害を各地で何度も経験してきて、その恐ろしさはよく見聞きしています。数時間大雨が降っただけでも、大変な被害が出るのですから、40日40夜降り続けば、大変な洪水になるだろうと推察できます。この旧約聖書に載っている有名なノアの箱舟の話は、人間が創造者である神を忘れて、暴虐が地に満ちているのをご覧になった神が、洪水によって人を絶やそうと決心されたことから始まります。ただ、ノアだけは神を愛し、神に従っていたので、ノアとその家族そしてすべての動物の一つがいだけが、箱舟に乗せられて、洪水を生き延び、新しい世界の祝福の元となっていったのです。
ノアは乾いた地の真ん中で、巨大な3階建ての船をいとすぎの木で造る様に命じられます。その大きさは、メートルに換算すると長さ133.5m、幅22.5m、高さ13.3m、という大きなビルのようなサイズで、長さ:幅:高さが30:5:3という現在のタンカーなどの大型船を造船する際に最も安定しているといわれる比率と同じだそうです。こんな巨大なものをノアと3人の息子たちで木を伐り出してきて作るのかと思うと気の遠くなるような作業です。聖書はただ、「ノアはすべて神の命じられたようにした」と書いてあるのみで、どのように時間がかかったかとか具体的なことは書き記していません。周りの人々は、世界が滅ぶ洪水が来るなんてと嘲笑ったかも知れません。ノアの息子たちも不安だったかも知れません。でも、父に語られた神の言葉を信じて黙々と力を合わせ船の完成を急いだのでしょう。やがて、船は完成し、食糧を積み、ノアの家族とすべての肉なるものの雄と雌が入った後、主が彼のうしろの戸を閉ざされました。
洪水が40日続き、山々はすべて水におおわれ、地のおもてにいたすべての生き物は、ノアと共に箱舟にいたもの以外、すべて滅びました。土のおもてがかわき、神がノアに箱舟を出よと言われたのは何とちょうど1年後でした。1年の間、神はノアたちを、災いが及ばないように閉じ込められました。箱舟の外は滅亡のみでしたが、箱舟の中には安息と平和が満ちていました。神が共におられたからです。
私たちにとっての箱舟とは、イエス・キリストの身体なる教会です。暴虐が荒れ狂うこの世界で、私たちは神を信じない人々からどんなに嘲られようと、ひたすら神を愛し、従い、御心に従って、主の救いの福音を周りに伝えることによって、御国建設に勤しみます。この世では艱難がありますが、これは、私たちを訓練し、御国に入るのにふさわしい者とする為です。神は信ずる者には、平安と必要な力が与えられます。