【聖書箇所朗読】
【説教音声ファイル】
2018年11月11日説教要旨
聖書箇所 エペソ人への手紙 2章8節~10節
宗教改革者 ルターと私たち
梅木 幸子
2017年はマルティン・ルターが宗教改革の発端となる「95か条の提題」を公表して500年目の節目の年でした。ルターは、本来のキリスト教精神から逸脱し、「悔い改めの心や償いの行為無しに、煉獄の罰が免除される」という免罪符を販売するなど腐敗しきっていたカトリック教会を批判し、プロテスタント教会が生み出されるきっかけを作り、キリスト教会を本来の精神に立ち戻らせました。それだけでなく、聖書のドイツ語への翻訳を進め、活版印刷を利用して聖書を印刷し、それと同時に学校を作り人々が字を読めるようにして、聖職者だけでなく一般の人も聖書を自分で読める状況を作りだしました。又、教会では聖職者や聖歌隊しか歌えなかった讃美歌を会衆も歌えるように自国の言葉で作曲もしました。自ら、聖書を読み考え意見を発信するという教養ある自覚的人間を求めるプロテスタント主義は、後年民主主義に人々を導くこととなりました。現代の私たちはルターの功績に負うところが多いのです。
そもそもルターは、22歳の頃、突然雷雨に見舞われ、死の恐怖を体験したことで、地獄行きを恐れてカトリックの修道僧になりました。熱心に勉強しましたが自分の救いに確信が持てないまま司祭となり、又大学神学部の教授となりました。大学で詩編やローマ書など講義する中で、「行いによるのでなく信仰によって義とされる」との聖書の真理にめざめ本当の救いを確信し、当時行われていた免罪符発行に疑問をいだき、95か条の質問状をマインツ大司教に送りつけたことがきっかけとなり、神聖ローマ帝国全体を巻き込む宗教改革へと発展していくことになりました。
現在、私たちが聖書を自分で読むことが出来ること、それによって、聖書が示す真理を自分で読み考えることができること、自分達で理解できる言葉で神様を賛美し礼拝を守れること、神様と一人一人が直接つながることが出来る事、ルターが権力を恐れず、真理の為に敢然と戦った恩恵に浴しているのです。
ルターはすべてのキリスト者が祭司とされ、世に遣わされていると言っています。私たち一人一人のキリスト者は、とりなしの祈りを捧げることが許され、又神様から果たすべき役目が与えられており、すべての仕事が神様に仕え神様の栄光を現すこととなっているのです。日々聖書の言葉を読み、神様のみ心を聞きつつそれぞれに与えられた場所で各自に与えられた仕事を忠実に果たしていくこと、そこに神様からの祝福と喜びが与えられるのです。