【聖書箇所朗読】
【説教音声ファイル】
2019年12月15日説教要旨
聖書箇所 ルカによる福音書1章26節~38節
あなたと共に
京都洛西教会会員 山田 光道
私達の救い主であるイエス・キリストの誕生と復活をしたこの方の来臨の時を待ち望むアドヴェント(待降節)の時を迎えています。この時期を私達はどのような思いを持って過ごしたらよいのでしょうか。
それは突然のできごとでした。私達の人生においても、時としてこのようなことが訪れることがあります。マリアにとって夫になるべきヨセフとの新しい人生が始まろうとする寸前のことでした。胸騒ぎの中のマリアに対して、御使ガブリエルは「恵まれた女よ、おめでとう、主があなたと共におられます」と言います。しかし神の国の世界では「恵み、おめでとう」なのですが、それは人間の世界ではとても受け入れがたい試練とも言えることでした。神の世界と人間の世界の厳しい断絶がここにはあります。御使はそのようなマリアに対して続けます。「恐れるな、あなたは神から恵みをいただいているのです」と。恐れと胸騒ぎは少し前までは、人間の物事を推しはかる重要な行動規範でした。ところが、情報とそれに基づく予報が発達した現代では胸騒ぎなどということは、小説やドラマの言葉となり、表面上はかなり薄くなったようにも思えます。しかし薄くなった分だけ、それは私達がそれを感じて行動するというよりは、より深みのところで、何とも表現しがたい恐れとして根強く存在しているのではないでしょうか。
マリアの胸騒ぎは的中します。このお告げを受け入れることによって過酷な人生が開始するのです。母としてわが子の人間では理解しがたい数々の言動、そして最後は十字架にかけられた姿をも目撃しなければならなかったのですから・・・。このようなマリアの疑いと惑いに対して、御使は「主があなたと共におられる」に引き続いて言います。「聖霊があなたに臨み、いと高き者の力があなたをおおうでしょう」と。私達は幾度となく誰かが共にいてくれることによって慰められたり、力をもらいその時を乗り越えた経験をしています。この共におられる方こそインマヌエルと呼ばれる救い主イエス・キリストなのです。この方が神と人間の断絶を和解させ、神の恵みと力を人間の恵みと生きていく力とされたのでした。
謙遜の中で神のお言葉を聞いて受け入れ、 自分の人生をゆだねていくマリアの姿勢こそが、今私達にも求められているのではないでしょうか。