【聖書箇所朗読】
【説教音声ファイル】
2020年8月9日説教要旨
聖書箇所 マルコ福音書12章13節~17節
神のものは神に
梅木 光男
本日は共観福音書といわれるすべてに記載されている有名な箇所でマルコ福音書12章の部分から「納税」論争について取り上げました。
エレサレム神殿でのいわゆる神殿浄めの事件を契機に、主イエスをどうにかして死刑にしたいと考えていたパリサイ派等は敵対関係にあったヘロデ派の人々をも巻き込んで奸計をめぐらし、いかにも敬虔な態度をもって主イエスに巧妙な質問を投げかけます。それは「ローマ皇帝に税金を納めるのは律法に適っているでしょうか」と二者択一を迫るものです。当然ながら主イエスは悪意に満ちた質問に憤りを覚えられます。それはもし主イエスが律法に適っていると答えられると、預言者(メシア)としての権威が失墜するし、適っていないと答えられるとローマ帝国への反逆と見なされるからです。まさに絶体絶命なピンチに主イエスがどの様に答えられるか皆固唾を飲んで見守ったことでしょう。ところが主イエスの答えは意外なものでした。それは「税金に納めるお金を見せなさい。これは誰の肖像と銘か」言われ、彼らが「皇帝のものです」と言うとそれなら「皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返しなさい」と宣言されたのです。
思いもよらない逆転の発想で三次元の選択肢ともいえるものです。神の権威と国家の権威の関係を的確に示されました。我々は日常生活で様々な制約と葛藤のなかで生きていますが、神の権威以上のものはこの世には存在しないことを主イエスは改めて我々に教えられています。
戦後75年の終戦記念日及び原爆投下の悲惨な事実を風化させることなく、我々が生きる基本的な基盤が一体どこにありそれに基づいて行動しているかが問われています。