【聖書箇所朗読】
【説教音声ファイル】
2021年8月8日説教要旨
聖書箇所 列王記6章8節~23節
恐れることはない
梅木 光男
間もなく今年も「終戦記念日」を迎えようとしています。あの悲惨な出来事が時の経過により次第に風化しつつあり、戦争体験者が高齢化とともに減少して、全体として深い反省と戦争絶滅の声が消えつつある現状を憂慮しています。さて、今日の聖書箇所はイスラエルとアラムとの敵対関係にある中で預言者エリシャはイスラエル王の相談役的な役割を果たし、アラム王の策略を見抜いて的確な助言を与えている様子が生き生きと描かれています。何度も策略が失敗に終わったアラム王は内部の裏切りを疑いますがその原因がイスラエルの預言者エリシャにあると悟ったアラム王はその対応策としてエリシャの住むドタンの町を何重にも取り囲んで脱出できないように大軍を派遣したのです。
当然アラムの大軍を目にしたイスラエルの民は恐怖に陥りますが、エリシャは報告に来た召使いに「恐れることはない」と励まし、神に祈り神様からの軍勢が「火の車と戦車」が山に満ちていると語り、かつアラム軍の目が見えなくなることを神に祈ったところそのとおりに実行されたのです。
その狙いはアラムの軍勢の生命を奪って滅ぼすためではなく、首都サマリアに連行して将来の禍根を絶つためであり、エリシャの外交的配慮によって戦争の虚しさを悟らせるためでもありました。
国家と軍隊に守られた平和は一時的であり、いつかは崩壊する運命にあります。これに対し神による平和は真の平和であり永久に存続することを聖書は雄弁に語っています。