【聖書箇所朗読】
【説教音声ファイル】
2023年1月29日説教要旨
聖書箇所 マルコ福音書6章30節~44節
5千人の給食
諸岡 寛
昨年を思い起こしますと、1/23 に私は初めて交換説教で福間教会に伺いました。コロナ禍でなかなか実現出来なかったので、この時が最初で最後でした。思えば福間教会の田宮牧師は3月末で辞され、図らずも6/22に急死されました。翌日は西南大のチャペルで講話が予定され、当日は止む無く須藤先生が代読されたそうです。自ら沖縄基地問題に関わられ、辺野古に教会を建てることが念願だったので本当に残念です。私も忘れられない田宮牧師を偲び、その時の説教箇所に触れてみます。
聖書箇所はマルコ福音書です。五千人に食べ物を与える箇所です。31節 さてイエス様は、「さあ、あなたがたは、人を避けて寂しい所へ行って、しばらく休むがよい。」と人里離れたところで休む様に言われます。日頃の疲れを癒すために心身を休ませることは大切です。この人里離れたところについては、1章35節で「朝はやく、夜の明けるよほど前に、イエスは起きて寂しい所へ出て行き、そこで祈っておられた。」とあります。イエス様の日常生活です。
祈りはイエス様にとって、父なる神さまとの交わりでした。そしてイエス様の休息でした。さてイエス様から休む様に言われた使徒たちでしたが、そこに大勢の人々が押し寄せます。そのために彼らは休むことが出来ません。イエス様は大勢の群衆の様子、彼らの心の様子を見られました。それは「飼う者のない羊のような有様」でした。羊は飼い主がいなければ生きていくことが出来ません。頼るものがない状態です。そのことを知られたイエス様は「深くあわれんで、いろいろと教えはじめられた」のです。そのあわれみの心から福音宣教を行われたのです。
そしてこの後、この大勢の群衆に食べ物を与えるという出来事が、即ち神さまのみわざが起こります。弟子たちは時もおそくなったので、めいめいで何か食べる物を買いに行かせようとします。するとイエス様は37節で「あなたがたの手で食物をやりなさい。」と言われました。これはイエス様が弟子たちを用いて神さまのみわざを行う様にされたということです。
41節から「イエスは五つのパンと二匹の魚とを手に取り、天を仰いでそれを祝福し、パンをさき、弟子たちにわたして配らせ、また、二ひきの魚もみんなにお分けになった。」「みんなの者は食べて満腹した。」「そこで、パンくずや魚の残りを集めると、十二のかごにいっぱいになった。」「パンを食べた者は男五千人であった。」とあります。男性だけで五千人ですから、女性子供を合わせるともっと多くの数です。そのすべての人が満腹し、残りを集めると十二のかごがいっぱいになったと言うのですから、神さまのみわざは完全であったことを示しています。
イエス様は弟子たちをご自分のみわざのために用いられました。さらに弟子たちは「百デナリオンものパンを買って来て」と、十分な食事を準備出来ないと決めてかかりました。しかしイエス様は「あなたがたが彼らに食べ物を与えなさい」と言われ、彼らを用いられたのです。そしてその結果、人々は食べて満足したのです。
ここでイエス様は言われました。「飼い主のいない羊のような人たち」、私たちにとって、まことの飼い主はイエス様です。このお方はパンと魚の出来事を通して、私たちに生きるために必要なものを与えてくださること。主の弟子はその働きに参与させられていたことを示されました。