【聖書箇所朗読】
【説教音声ファイル】
2023年4月2日説教要旨
聖書箇所 ヨハネ福音書13章21節~30節
裏切りの予告
梅木 光男
2023年度は受難週から始まりました。間もなくイースターです。ヨハネ福音書は主イエス・キリストこそ神の子であり、救い主であるということを何度も我々に示し、罪を悔い改めて主イエス・キリストを受け入れることを促しています。本日の聖書箇所は有名な最後の晩餐での出来事です。
過ぎ越しの祭りにイエスは自分の定められた運命つまり人々の罪を担って十字架にかかり復活することに「心を騒がせて」最愛の弟子の一人の裏切りによって聖書の言葉が成就する事実を弟子たちに打ち明ける時が来たことを示されたのです。
この箇所はまさにイスカリオテ・ユダの裏切りの緊迫した場面です。ユダが祝福の食事の席から「夜=闇の世界」へ導かれる様子が克明に描かれています。主イエス・キリストの通告にもかかわらず、他の弟子たちは誰もユダの裏切りに気づかなかったばかりか、将来の自分たちの姿に思いが及ばない極めて楽観的な気持ちでいっぱいでした。
このユダの裏切りの真意について聖書は何も記してはいません。ユダとしては自分の正義のために悩み苦しんで綿密に計画を立てて実行したと思われますが、結果は最悪の事態となり取り返しのつかない状況に陥り、最後は後悔して自殺に追い込まれるという悲惨な結末となったことが明らかになっています。
これはじつは我々の姿ともいえます。人間の営みのなかでいつも自分自身の価値観や正義を大事にして、それと反する行為や社会規範に対して攻撃したりまた裏切る可能性が潜んでいるのです。従ってこれはユダだけの問題ではなく、他の弟子たちそして我々一人一人も自分たちが求める神の力や奇跡を求めてその恩恵に与ろうとする自己願望や自分たちの利益の為に主イエス・キリストを利用する思いに陥る危険性を孕んでいることに注意する必要があります。
イースターを目前にして今一度主イエス・キリストの究極的愛と慈しみを覚えてこの週間を歩んで行きたいと願っています。