【聖書箇所朗読】
【説教音声ファイル】
2023年7月9日説教要旨
聖書箇所 創世記1:29-2:4
神の世界にともに生きる
西南学院バプテスト教会協力牧師
踊 一郎
初めに、神は天地を創造された。創世記1:1
多くの人は、これを「単なる神話」、真剣に受け留める価値も必要もない作り話と考えています。果たしてそうでしょうか。
ある旧約聖書学者は「聖書開巻のこの偉大なる思想は、宇宙科学の発達した現代の人々にとっても、古代人同様に新しい霊感の源泉である。ここにはすべての生命の根源である神に対する剛健な信仰が鼓動している」と言い、別の旧約聖書学者は「これはすべての人を対象とした物語である」と書いています。
「地は混沌であって」(創世記1:2)。「混沌」は原初の姿、同時にどの時代の姿でもあります。紀元前6世紀、エルサレムはバビロン軍によって破壊され混沌と化していました。預言者エレミヤは4回も繰り返し「わたしは見た。見よ」(エレミヤ4:23~26)と言っています。去る6月23日は78回目の沖縄戦終結の日でしたが、そこには筆舌に尽くしがたい混沌がありました。私たちは今もウクライナの地に同様の混沌を見ているのではないでしょうか。
しかし創世記の著者は「神の霊が動いていた」(創世記1:2)と言います。その混沌の上を神の霊、神の力が動き、新たな秩序を創造しようとしているのです。今こそ神のご意志とみ業に目を向けたいと思います。
それからもう一か所心を向けたいのは、1:11~12、29です。「神は言われた。『地は草を芽生えさせよ。種を持つ草と、それぞれの種を持つ実をつける果樹を、地に芽生えさせよ。』 そのようになった。地は草を芽生えさせ、それぞれの種を持つ草と、それぞれの種を持つ実をつける木を芽生えさせた。神はこれを見て、良しとされた。」「神は言われた。『見よ、全地に生える、種を持つ草と種を持つ実をつける木を、すべてあなたたちに与えよう。それがあなたたちの食べ物となる。』」
NHK朝の連続ドラマ「らんまん」の主人公は牧野富太郎博士ですが、彼の言葉には傾聴に値するものがあります。「朝な夕なに草木を友にすれば淋しいひまもない」「憂鬱は花を忘れし病気なり」「植物は人間がいなくても、少しも構わずに生活することができるが、人間は植物がなければ一日も生活することができない。人間は植物に対しておじきをしなければならない立場にある。人間に必要欠くべからざる衣食住は、すべて植物によって授けられている。人間は植物に感謝の真心を捧げなくてはならない。」一木一草の背後にも神の深い配慮があることを覚えて感謝したいと思います。