【説教音声ファイル】
2024年3月31日説教要旨
聖書箇所 ヨハネ福音書20章24節~29節
トマス
梅木 光男
2023年度は受難週から始まりイースターで終わるという不思議な恵みに満ちた年度である。
キリスト教の最大の恵みは「キリストの十字架と復活」にある。天地創造の神は我々の救いの為に愛する御子イエスをこの世にお遣わしになり、我々に罪の悔い改めと神への信頼(信仰)を求められたが頑な我々人間はそれを拒んだ。それにも拘わらず、神はついに無償の愛の結晶として御子イエスを十字架刑に処して3日後に復活させ、主イエスを信じる人々に罪の赦しと永遠の命に至る祝福を与えられた。
今日の聖書箇所の12弟子の一人であるトマスを通じてこの不思議な出来事をじっくりと考察してみたい。主イエス・キリストの復活は我々の想像以上のもので、最初に体験したのは女性たちでその後多くの人にまた弟子たちにも復活された姿を現されたが、何故かトマスだけがその場に不在だったので、その事実を確認することができなかった。トマスにすれば話に聞いてもとても信じられない気持ちと仲間と共有できないもどかしさがあったに違いない。これこそ我々の姿をそのまま投影している。事実彼の発言に「十字架の釘の跡に自分の指を入れてみないと信じない」との記述がある。
しかし8日後事態は急変する。主イエス・キリストが再度思いもかけない方法で弟子たちに現れ、トマスに向かって「あなたの指をここに当てて、わたしの手を見なさい。(中略)信じない者ではなく、信じる者になりなさい」と慈愛をもって招かれた。トマスは即反応し「わたしの主、わたしの神よ」と疑念と不信の心から絶大なる信仰へと導かれた。そして続いて主イエス・キリストの𠮟責ではなく慈しみに満ちた有名な御言葉によってすべて氷解し、同じ信仰同じ祝福に満ちた生きる喜びと希望、そして力を得たのである。