【説教音声ファイル】
2024年7月21日説教要旨
聖書箇所 ヨハネによる福音書16章33節
世では苦難がある
原田 寛
「これらのこと」というのは、最後の晩餐においてイエスが語ったことを指しています。そして、それは聞いている人たちがイエスによって「平和を得る」ためだと言われています。イエスの言葉は、聞いている人たちをイエス・キリストをお遣わしになった父の神と結びつけ、聖霊が真実を示し助け導くと教えておられました。そして、「世で苦難がある」と言われます。それは、予告のように思われます。
事実、最後の晩餐の後、イエスは捕らえられ、不当な裁判の後に十字架に着けられ殺されてしまいます。多くの弟子たちは、イエスが捕らえられる際に逃げるしかありませんでした。まさに苦難の始まりです。イエスが捕らえられる時に、弟子として捕らえられたとすれば、どんなことが身に起こることになったか。使徒パウロは、第二コリント11章23節以下で、赤裸々に記しています。
予告された苦難を考えると、それらは、信仰者とイエスを引き離そうとする悪魔の試みの様に思われます。イエス自身もヨハネからバプテスマをお受けになった後、荒野で40日間断食され悪魔の試みを受けられました。その試みは、イエスを父なる神から引き離そうとするものでした。イエスは、聖書の御言葉をもって退けられました。
パウロは、このように記します。「あなたがたを襲った試練で世の常でないものはない。」(第一コリント10章13節)とパウロ自身の経験に基づく言葉ですが、イエスの弟子たちに対して「あなたがたは世では苦難がある。しかし、勇気を出しなさい。わたしは、すでに世に勝っている」と語られた言葉を思い起こさせます。
苦難の先にあるのは、死んで復活されたイエスと共にある神の国であり、真の「平和」です。