【聖書箇所朗読】
【説教音声ファイル】
2025年4月27日説教要旨
聖書箇所 コロサイの信徒への手紙1章9~23節
「根気強く・・・」
原田 寛
現代は、多様な生き方が受け止められると同時に宗教離れが進んでいます。また、キリスト者として歩む人も、以前よりも少数となっていると考えられます。そして、輪をかけて高齢化が進んでいるという状況です。このような中、わたしたちがイエス・キリストを信じる信仰に基づいた確かな歩みを証しとして残していけるように、御言葉から学びたいと願っています。
コロサイというところは、小アジアのフリギア地方にある町です。ヒエラポリス、ラオデキヤと共に繊維工業が盛んでした。しかし、新約聖書の時代には、道路網の変化により衰退化します。20㎞離れたところにヒエラポリスがあり、そこは、近郊に温泉があり、ギリシャのアポロンとアタルガシスというシリアの女神の祭壇があって重要な町の一つでした。コロサイは、衰退化する中で、力のある町の影響を受けやすかったと考えられています。
3回の伝道旅行を行ったパウロがこの町を訪問した形跡はありません。この町に伝道したのは、エフェソでパウロによって救われたコロサイ出身のエパフラスという人によります。エパフラスは、ラオデキヤやヒエラポリスへも伝道をしていました。パウロは、エパフラスによってコロサイを知りコロサイに関心を寄せるようになります。コロサイの信徒への手紙は、そのような関わりの中で生まれた手紙です。
エパフラスによってコロサイの教会は、いわゆる異邦人が多数の教会でしたが、異端にさらされていました。その異端の働きは、ユダヤ教的儀式への偏重(2章16節)と異教の神話及び哲学(2章8節、18節)と考えられています。ある種の混合主義運動と言われています。
コロサイ教会は。様々な影響を受け止めながら、伝道が進んでいきました。この教会にパウロは、「御子イエス・キリストによる創造と和解」を示します。天地創造から、十字架の死と復活、万民の罪からの救いまで、伝えている事柄を、この短い文章にまとめています。そして、「信仰に踏みとどまり、福音の希望から離れてはならない」と命じます。
「どんなことにも根気強く・・・」、この時代の教会は、内側には異端、外側には迫害との闘いがありました。パウロは、天地創造より御子としての栄光を受けておられる方に強められ、共に歩むようにと伝えます。教会は、この時代を根気強く歩んで、様々な信仰の恵みを残して成長していきます。特に新約聖書の各書物はそうです。異端に対抗する中でイエス・キリストへの信仰が確立されて、その信仰が使徒信条やニケヤ信条などに反映していきます。
今日、世界的に人口が増え、急速にインターネットが普及し、様々な情報に多くの人々が触れて、その影響を受けています。インターネットの情報は、得なければならない情報や得たい情報、知っていた方が良い情報ならばよいですが、どうでもいい情報やフェイクといわれるべき偽情報も含まれます。第三者には、わたしたち教会の情報も、雑多な情報の中のひとつになってしまっています。
このような中、私たちは「根気強く・・・」信仰に立ち、それらの情報に触れながらも、伝えるべき救いの情報を、しっかりとお伝えしていきたいと考えます。