【聖書箇所朗読】
【説教音声ファイル】
2022年4月10日説教要旨
聖書箇所 マタイ福音書26章31節~35節
ペテロの離反
梅木 光男
いよいよ受難週です。新たな思いでこの一週間を過ごしたいと願っています。本日の聖書箇所は全ての福音書に記載されている箇所で、使徒ペテロの人生における最大の恥辱ともいうべき内容です。
主イエスはご自分の十字架による死と復活について何度も弟子たちに予告されていたが、弟子たちはその意味を十分に理解していなかったのです。
エレサレム入城後主イエスは弟子たちに最後の総仕上げというべき様々なことを実行されました。それは①主イエス自らが弟子たちの足を洗われたこと②イスカリオテ・ユダに対して裏切りの予告がなされたこと③教会の礼典として実施される晩餐式の形を示されたことそして④ペテロの否認の予告です。
最後の過ぎ越しの食事の際、主イエスは「あなたがたの一人がわたしを裏切る」と宣告されると弟子たちに驚きと動揺が起り、同時に非常に心を痛めて代わる代わる「まさか私のことですか」と弁明し当然ペテロも強く否定しました。この時主イエスは旧約のゼカリヤ13:7の御言葉が実現されることそして復活の後、弟子たちに先立ってガリラヤへ行くことを宣言されるのです。ペテロは「他の弟子たちが躓いても私は決して躓かないし、あなたのことを知らないなどと言いません」と強弁します。すると主イエスは優しいまなざしで「今夜鶏が鳴く前に3度私を知らないと言うであろう」と述べられ同時に執り成しの祈りとその後のペテロに託される使命を告げられたのです。
実際主イエスが逮捕され大祭司の家で裁判が行われ、心配してその様子を見ていたペテロに数人がお前はイエスの仲間だと詰問され3度も強く否認した時まさに主イエスが先に宣告されたようになったのです。自分の弱さ、愚かさ、卑怯さ、不信仰が露呈しペテロは深い反省と悔悟の涙を流したのです。これが復活された主イエスとの再会によって再び主の愛と憐れみによってありのままの自分を取り戻し、福音宣教の業に励む力と勇気が与えられたのです。