【聖書箇所朗読】
【説教音声ファイル】
2023年4月16日説教要旨
聖書箇所 ルカによる福音書24章13-32節
エマオよ、わが夢の国よ
片山 寛
エマオ途上の出来事は、まるで美しい夢のように私を魅了し、慰め、また繰り返し元気を与えてくれます。イエス・キリストとふたりの弟子の共同の食事。つつましくはありますが、心のこもった食卓です。そうです、それはまさに、教会の愛餐であり、また主の晩餐式の風景なのです。
新約聖書学者エルンスト・ケーゼマン1906-98によりますと、最初期の教会では、人々は教会に集まって、実際に各自が持ち寄った食事を分け合って食べていたといいます。疲れ果てた腹ぺこの人々が「共に食べる」ということが、礼拝の始まりだったのです。「主の晩餐式」は、その後でその共同の食事を主イエス・キリストの記念として儀式化する中で生れてきました。ですから私たちは、「主の晩餐式」をするたびに、この最初の「イエス・キリストとの共同の食卓」を思い出す必要があるのです。
以下に御紹介するのは、詩人島崎光正(1919-2000)さんの「エマオ途上」と題する詩です。復活の主イエスは、私たちと共に歩んでくださる主であること、さりげなく、常に私たちを守って下さる方であることを、この詩は表現しています。
エマオ途上
島崎 光正
エマオ村に向う
足の重い二人の弟子に
復活のイエスは加わった
それとは知れず
互いに
話はアネモネの花のようにはずみ
虫ばまれた丸木橋の上では
イエスが一番先に渡り
また三人で並んで旅をいった