【聖書箇所朗読】
【説教音声ファイル】
2022年10月30日説教要約
聖書箇所 伝道の書4章9~12節 9章9節
コヘレトの言葉(伝道の書)
諸岡 寛
今から2年ほど前に、教育TVが宗教の時間で「コへレトの言葉」を取り上げました。口語訳では「伝道の書」です。東京神学大学の旧約学の小友聡先生が講師で、タイトルは「それでも生きる」です。さらに小友先生のテキスト「コへレトの言葉を読もう」も購入しました。タイトルは「生きよと呼びかける書」とあります。今を生きよとコへレトは呼びかけています。コロナ感染も未だに終息の兆しはありません。こんなことになろうとは思っても見ませんでした。命にもかかわる一大事にあって、感染以外にも生活が脅かされ、休業を余儀なくされ、多くの企業は赤字を計上し、失業者も増え、自死者も増えています。それだけにこの書は目を通すべき注目される聖書の箇所と言えます。
西南の赤煉瓦講堂には「汝の若き日に、汝の造り主を覚えよ」の聖句が掲げられていました。新共同訳聖書ではコヘレトの言葉12章1節として、「青春の日々にこそ、お前の創造主に心を留めよ。 苦しみの日々が来ないうちに。 『年を重ねることに喜びはない。』と言う年齢にならないうちに。」と訳されます。 このみ言葉に高校生だった私は心を惹かれました。 ちょうど成長期ですが、身体だけが大きくなる時期に、ふと自分は何者だろうと思うことが度々ありました。 何で此処に存在しているんだろうと不思議に思いました。 そうなんだ、両親の他に、自分には造り主が存在するんだと。 この造り主と交信して、自分の進む道を決めていかなければならないんだと強く思う様になりました。 そうすると自分自身が大変楽になり、こうしたチャペルの時間も、神さまからのみ言葉をいただける時だと元気付けられる様になりました。 この旧約聖書のコヘレトの言葉を何回も読んでみて下さい。 「なんという空しさ、なんという空しさ、すべては空しい」という言葉の枠組の中に、時が語られ、人生が語られ、喜びが語られ、結論として「神を畏れ、その戒めを守れ。」が語られます。 何かしら人生のヒントが得られる知恵の書です。
9章9節では「太陽のもと、与えられた空しい人生の日々 愛する妻と共に楽しく生きるがよい。それが、太陽のもとで労苦するあなたへの 人生と労苦の報いなのだ。」とあります。新しい共同訳聖書では「愛する妻と共に人生を見つめよ」と記されます。この箇所はひときわ際立つ訳文です。実はこれがヘブライ語の直訳とされます。これまで「楽しく生きよ」と訳されて来ましたが、ヘブライ語は確かに「人生を見つめよ」なのです。コヘレトにとって愛する妻は人生の掛け替えのないパートナーです。その妻と共に人生を見つめよ、と勧められるのです。平均寿命が40歳に届かない旧約の時代において、妻と共に過ごす時間は限られていました。その人生の時間は、神から与えられた賜物だとコヘレトは見ているのです。これから先の時間は限られています。あとどれくらい妻と過ごせるかをコへレトは絶えず考えているのです。昨年11月末に私はルミエールの駐車場で自損事故を起こし、妻を骨折で入院させてしまいました。その時にこの小友先生の「コヘレトの言葉を読もう」を勧めたところ、読んで共感してくれました。そして来年は私達はルビー婚の40周年を迎えます。