【聖書箇所朗読】
【説教音声ファイル】
2019年11月10日説教要旨
ルワンダを訪ねて
中條 智子(長住教会牧師)
ことしの9月、「佐々木さんを支援する会」主催の第3回ルワンダ「和解の現場」訪問ツアーで、14人がともに、佐々木和之さん(日本バプテスト連盟国際ミッションボランティア)が働くルワンダを訪ねました。
ルワンダのジェノサイドについては、ご存じの方は多いと思います。25年前の1994年4月、当時の大統領の暗殺をきっかけに、ツチの人たちと穏健派のフツの人たちに対する大虐殺が起こり、80万人とも100万人とも言われる人たちが殺された事件です。
当時のルワンダもクリスチャン人口の多い国でしたが、ジェノサイドにおいては、そうしたことはまるで意味をもっていません。隣人が隣人をナタで襲いレイプをし、次々に死体の山をつくりました。ツアーでは、そうした体験からのサバイバーの方にお話を伺いましたが、それはほんとうに、どうしてこんなことがと思わずつぶやきたくなるような、出来事でした。被害者の方が体験したことはすさまじく、体にも心にも、ざっくりとした傷あとが残されてしまっています。レイプをするというのも、ナタで切りつけるというのも、暴力です。人間としての尊厳を徹底的に痛めつけ打ちのめして、抵抗できないようにしているのです。サバイバーの方たちは、ご自分の体験を語りながら、もはや語ることのできない遺骨となった女性たちや子どもたちの絶望と苦しみをも、同時に語っておられるようでした。その痛みは想像に余りあります。
ツアー参加者が強い印象を受けたのは、生存被害者の方たちの体験の悲惨さ、のみならず、被害者の方たちが、自分を襲撃した加害者に向かって和解の手を差し伸べた、という事実でした。あなたが真剣に心から謝罪をするならば、わたしは許す、と語りかけ、ほんとうにその謝罪を受け入れて「許します」と宣言し、平和な日常を再建しておられる。その姿をわたしたちは見せていただきました。また、加害者たちが、かたちだけの、通り一遍の謝罪ではなく、自分がしたことと真剣に向き合い、自分が傷つけた相手の家を訪ねる勇気を与えられて、謝罪をし、許されて、和解と平和、そして解放を与えられたこと。その姿も、わたしたちは見せていただきました。被害者の方も加害者の方もどちらも、うわべだけの許しや謝罪ではなく、心から許しに生き謝罪に生きておられることが、語られる言葉からも、真剣なまなざしからも、伝わってきたのです。それはほんとうに、印象深い経験でした。