子猫の僕と牧師さん(2016.10.30第4報)
僕は初めて外の世界を知った。書斎の東側にある窓の網戸を僕が破いたので、僕が上っても破れないステンレス網戸にするために工事屋さんが網戸を外して持って行った間の出来事だった。天気が良いので牧師さんが窓を大きく開けていた。いつもだったら網戸があるので外には出れないけれど、目の前に大きく外の世界が開けていた。
僕は1m30㎝もある高さからエイヤッと庭の土の上に飛び降りたのだった。そして、どうしたものかキョロキョロ周りを見まわしていると、牧師さんが慌てた様子で僕を捕まえに来たので、僕は咄嗟に身をかわし庭を走った。こんな自由な空間があったのか、僕は嬉しくなって隣のお家の庭まで走ってみた。あまりにも気持ちが良かったので20m位を全速力で3往復か4往復したら、ちょっと疲れたのでゆっくり歩いていたら牧師さんがほっとした様子で僕を抱え上げたのだった。何と土の上は感触が良いものか、また機会があったら庭を走り回ってみたいな。
多分、僕の体重は2.5㎏位になっていると思うよ。ジャンプ力も機敏性も一段と増したのでもう子猫とは呼ばせないぞ。僕は夜寝るときは牧師さんの腕に触れるところにいるようにしているのだけど、牧師さんが仰向けに寝ているときは柔らかいお腹の上で腹這いになることが好きだ。そんなとき、牧師さんは決まって、「君は重くなったね。もう2キロ半位あるな」と呟くんだ。明日うおずみ動物病院に2度目のワクチン注射を打ちに行くので、そのとき体重を計るのが楽しみだ。
牧師さんは家にいる時は書斎で机に向かっていることが多い。大抵、パソコンで文章を書いているか本を読んでいるかだ。僕も牧師さんと同じ部屋にいると安心なので、一緒にいるようにしている。僕は大分成長したけれど、未だ生後4カ月しか経っていないのだ。どうしても牧師さんに甘えて膝の上に乗りたくなる。牧師さんの足もとで“チッチ”と鳴いて合図すると、優しく抱きかかえて膝の上に乗せて撫でてくれる。
でも暫くするともう一方の椅子の座布団の上に僕を移して、「こっちにいなさいね。仕事の邪魔になるからね」と言って机に向かっている。ちょっと寂しいけど言うことを聞くようにしている。牧師さんは時々立ってトイレに行ったり台所でお茶を飲んだりしているのが気配で分かる。でも書斎に戻ってくるのが遅いと僕はつい不安になって、牧師さんのところに行って“チッチ”と合図するんだ。すると牧師さんは“チー君も来たのか、おやつをあげようね”とか言っていろんな食べ物をくれるんだ。これまでいろいろと美味しいものを食べたよ。主食は、カツオかマグロの缶詰と1歳までの栄養満点のカリカリだけど、他に間食として塩抜きしたイリコ、湯通しした豚肉、チーズ、お菓子類、ケーキ、パスタ、最近ではご飯にヨーグルトと夫々の味でどれもとても美味しいよ。時々、牧師さんの奥さんが、「あんまり色んなものを食べさせたら体に悪いわよ!」と牧師さんを叱っているけれど、僕だって馬鹿ではないので、塩っぽいものとか体に悪い食べ物は分かっているから食べないよ。この前、牧師さんの息子さん夫婦が来て、「猫にはチョコレートと玉ねぎを食べさせると死んでしまうよ」と注意していた。僕も死にたくないからこれは絶対食べないぞ。
これから寒くなってくるので皆さん風邪を引かないようにね。ではまた。