【聖書箇所朗読】
【説教音声ファイル】
2023年3月19日説教要旨
聖書箇所 ルカによる福音書11章14~23節
悪魔を恐れるな
片山 寛
(和白バプテスト教会協力牧師)
私たちの世界には、人間の力を超えた悪の力があり、私たちの運命はそれによって翻弄され、まったく行き詰ってしまうことがあります。ミャンマーやロシアの独裁者の権力を誰も止めることができないのを見るとき、またそれによって迫害され、殺される人々の苦しみ、家族の悲しみを見る時、私たちは自分の無力にうちひしがれるのです。悪魔をあなどることはできません。それは真実です。
しかし聖書は、それにもかかわらず、悪や悪魔の力を恐れるな、とも繰り返し述べています。悪魔はどんなに強大に見えても、独自の、自立した存在ではなく、寄生的な存在であり、全面的に神に依存した「試みる者」(ヨブ記1~2章、マタイ4章3節)に過ぎないのです。悪の力を過大評価することは、神さまへの信仰からではなく、むしろ絶望から生じるのです。ですから私たちは賢明にふるまわなければなりません。次のような短い物語があります。
恐慌におちいる必要はない
19世紀のことだが、アメリカ中西部のとある州議会の最中に、皆既日食が起った。議場は混乱し、恐慌状態におちいりそうだった。そのときちょうど演説台に立っていた知事は、議場に考慮をうながした。「尊敬する議員の皆さん、二つの可能性がありますが、結果は同じです。もし主イエス・キリストが(世の終りで)来られたのであれば、キリストは私たちが忠実に仕事をしているのをご覧になります。もしキリストが来られたのではなかったとしたら、私たちは仕事を中断する理由などない、ということです」。
Kurzgeschichten I, 242