【聖書箇所朗読】
【説教音声ファイル】
2023年1月15日説教要旨
聖書箇所 ヨハネによる福音書2章1-11節
最初のしるし
片山 寛
ヨハネ2章11節
「イエスはこの最初のしるしをガリラヤのカナで行い、その栄光を現わされた。」
ヨハネ福音書は、イエスさまのなさったさまざまな奇跡のわざを、「しるし」(セーメイオン)という言葉で表現しています。「しるし」(sign)とは、別の何かを表示しているしるしなのですから、私たちは奇跡そのものに驚くだけでなく、それが何を表示しているのかに注視する必要があります。
今朝、私は、イエスさまがその「最初のしるし」を、なぜ「婚礼」の場で表されたのかを考えてみたいと思います。つまりカナの結婚式の披露宴で水から変化した「ぶどう酒」は、いったい何を表示しているのでしょうか。この奇跡物語には、花嫁も花婿もまったく登場していませんので、深読みのしすぎになってしまうかもしれませんが、私はぶどう酒の「しるし」が表示しているのは、「神さまの愛」だと思うのです。次のような物語があります。
要 点
ある古い伝説の物語るところによると、ひとりの若い、知識欲旺盛な王さまが、王国の学者たちに依頼して、自分のために世界のあらゆる学問を書きしるすように命じました。学者たちはただちに仕事にとりかかりました。40年後に、学者たちはその結果を、千巻の書物で提出しました。王さまは、その間に60歳になっていましたが、「千巻もの書物を読むことはもはや私にはできぬ。すべてを要点に縮めよ」と言いました。
10年後に学者たちは人間の歴史の内容を百巻の書物に要約しました。王さまは言いました。「これはまだ長すぎる。私はすでに70歳なのだ。要点だけを書いてくれ。」
学者たちはもう一度仕事にとりかかって、最も重要なことをたった一巻の書物にまとめました。彼らがそれを持ってきたとき、王さまはすでに死の床に横たわっていました。王さまはしかしもう一度、学者たちの仕事からほんの要点だけでも聞きたいと望みました。そこで学者団の代表は、人間の歴史の最高の要点を、たった一つの命題でまとめて言いました。「人々は生き、苦しみ、死にました。そして価値があり、生き残ったものとは、愛でした。」
Kurzgeschichten 3, 112