【聖書箇所朗読】
【説教音声ファイル】
2023年4月9日説教要旨
聖書箇所 ヨハネ福音書14:1~6
真の命への道
西南学院バプテスト教会協力牧師
踊 一郎
「わたしは道であり、真理であり、命である。わたしを通らなければ、だれも父のもとに行くことはできない。」ヨハネ14:6
主イエスはそう言われました。
ヨハネ福音書は紀元90年頃エフェソで書かれたと言われています。当時のキリスト者たちはギリシャ・ローマの文化の中で生き、ローマの様々な道を通って福音を伝えていました。
藤原武氏の『ローマの道の物語』によると、広大なローマ帝国内を縦横に走った道路網は総延長29万キロ、主要幹線は372本で86,000キロ、堅固な路盤工事と路面工事は現代のものと比べても遜色ないものでした。例えばアッピア街道はローマをスタートし一路南下してイタリア半島の先端まで延びています。紀元前312年に造られた重要な道であり、その沿線にはさまざまなモニュメントが立ち並び、「道の女王」と言われていました。またエフェソはエーゲ海に面する貿易港で、商業都市として大いに栄え、当時の人口は5万人にも達していました。20世紀に発掘された道路は、道幅も広く両側にモニュメントが立ち並ぶ石畳の立派な道です。
またローマ帝国は軟弱地盤にも道を造ったり、岩山を「L」字やカタカナの「コ」の字に切り開き、そこを通る馬車が谷に落ちない工夫やトンネル工事なども行っていました。2000年も前のローマ人が道にかけた熱情と高度な技術には驚くばかりです。
トンネルと言えば、中津市本耶馬渓町曾木の青地区に造られた道、「青の洞門」。1763年に禅海という僧侶がノミと槌だけを使い30年の歳月をかけて貫通させた144メートルのトンネルも実に見事です。
「世界の道はローマに通ず」とは、ローマ人が自国の道を誇り、ローマの繁栄を称えた言葉だったのです。そのことをよく知っていたヨハネ福音書の著者は、イエス・キリストの言葉と業、特に十字架と復活によって拓かれた命の道を、ローマの道よりはるかに堅固で確かなものであると告白し賛美しているのです。主イエス・キリストは今も私たちをこの道へと招いておられます。この確かな道を力強く歩みたいと心から願っています。