【聖書箇所朗読】
【説教音声ファイル】
2023年6月4日説教要旨
聖書箇所 マルコ福音書5章25節~34節
苦しみからの解放
梅木 光男
本日の聖書箇所は「ヤイロの娘とイエスの服に触る女」の題がついた箇所で、ヤイロの娘の癒しに挟みこまれた女の物語には2つの共通点と相違点があります。それは共に女性で12という数字に関係があり、相違点は片や裕福で大切に育てられた少女と出血の故に医者からも見捨てられ社会や家族からも隔離・差別された存在であったこと、また主イエスに対して消極的?と積極的とまさに両極端にある位置付けで、聖書は「信仰」に対する問題提起を行っています。
マルコ福音書は女性や社会的弱者と言われる人々に焦点を当てて主イエスの優しい眼差しと癒しの業を描いています。ここでは12年も出血によってあらゆる治療等を行ってもなんら効果がないばかりか律法の規定によって家族や社会からも忌み嫌われる存在でした。当時の人々にとって血は体内にある限り生命の源で清いものであったが、一旦体外に漏出されれば汚れたものとなり完全に社会から断絶される定めでした。このような状況下で彼女はこの絶望の中で日々生きていたが、主イエスの噂を聞きまさに藁をもすがる気持ちで恐る恐るイエスの服に触れるのでした。その瞬間病気が癒されるのを感じたのです。すると主イエスは自分の身体から力が出て行ったことに気づかれ、弟子たちに「私の服に触れたのは誰か」と問いかけられますが、多くの群衆のゆえに特定することはできませんと答えると、それでもなお主イエスが捜されるのを見て、全てを理解した女はイエスに恐れを抱きつつ正直に告白するのでした。すると主イエスは「あなたの信仰があなたを救った。安心して行きなさい。」と思いもかけない」言葉がかけられ、その時肉体の癒しだけでなく差別され断絶された家族や社会への復帰というまさに人格が回復する救いがあったのです。
我々も色々な苦しみや悩みがあります。自分だけの知識や経験等に頼らないで、現実に絶望することなく神への信頼を固くもって信じ続けることが重要であることを再認識させられた思いです。