【聖書箇所朗読】
【説教音声ファイル】
2024年12月1日説教要旨
聖書箇所 ルカによる福音書1章76-79節
道を整えるように
原田 寛
2024年もアドベント(Adventus)に入りました。アドベントは「待降節」のことです。わたしたちは、イエス・キリストのご降誕を待ち望む時ということで覚えてきています。
アドベントは、ラテン語で「到来、到着、接近」の意味です。ギリシャ語のパルーシアの訳語だそうです。パルーシアというのは、新約聖書ではイエス・キリストの再臨を示す言葉です。アドベントには、再び主が来臨されることを覚えてまいりましょう。
ローマ帝国は、ミトラ教という宗教が中心でした。それは、太陽を神の象徴とし、信仰の対象としていました。冬至は太陽神ミトラが生まれ変わる日として大祝祭日とされていました。その日は、何を貧富貴賎の区別を忘れ歓楽に酔う祭が行われる中、キリスト教会は、その自由が許される中で、御子イエス・キリストのご降誕をおぼえるようなり、神を讃美するために集ったそうです。12月にクリスマスが祝われるようになった背景には、このようなことがあったのです。
イエス・キリストの誕生をお祝いするのがクリスマス。クリスマスには、必ずと言っていいほど伝えられているのが「受胎告知」。この「受胎告知」に先駆けて伝えられているのが「バプテスマのヨハネ」のことです。ルカ福音書は、その誕生の次第を記しています。ヨハネは、メシアに先立って歩み、その道を整える者でした。
今朝の御言葉は、イエス・キリストに先行して生まれた折、バプテスマのヨハネについて、父ザカリアが預言した言葉です。「主に先立って行き、その道を整え、主の民に罪の赦しによる救いを知らせるからである。これは我らの神の憐みの心による。この憐れみによって、高いところからあけぼのの光が我らを訪れ、暗闇と死の陰に座している者たちを照らし、我らの歩みを平和に導く」
ルカ福音書は、ザカリアが預言したように、ヨハネがイエスに先んじて活動をし、多くの人々が罪の赦しのバプテスマを受けたこと、イエスはヨハネからバプテスマをお受けになり、公生涯に入ったことなどを伝えます。
主の民は、御言葉にこころを開く人々です。その人々は、昔存在したように、今も存在します。
アドベントには、「再臨」の意味があります。キリスト教会が「再臨」を望みつつ、福音宣教の業を展開していくことは、バプテスマが主イエス・キリストの道を整えていったように、今もふさわしいことなのです。