【聖書箇所朗読】
【説教音声ファイル】
2026年7月12日説教要旨
聖書箇所 マタイによる福音書9章9~13節
求めるのは慈しみ
原田 寛
ある収税所にマタイという男性が座っていた。彼は、徴税人だった。イエスは、マタイに「わたしに従いなさい」と声をかけた。彼は立ち上がってイエスに従った。
〇マタイはユダヤ人であったがローマ帝国のための収税の請負人となっていた。…徴税人は、競争入札を通じて属州の徴税権を獲得し、徴税を行いつつ公共事業などを請け負うことをしていた。それらの働きは、裕福な商人や騎士階級の人々が担った。ローマ帝国の中で彼らは、特権階級になる。一般の人々は、自由人の中でも解放奴隷と共に下層民という位置づけとなっていた。マタイは、徴税人となり裕福な地位を確立して社会的に羽ばたいていこうと取り組んだのかもしれない。
〇徴税人は罪人と数えられた。…ユダヤでは、ローマ帝国の支配に甘んじつつも、ユダヤ教を中心にした歩みが続いていた。しかし、ユダヤ人の中には、ローマの支配にユダヤ人国家の再興を望み、運動する者もあった(熱心党)。また、多くのユダヤ人が、メシアが現れこの現状から救ってくれると考えていた。したがって、ローマ帝国には反抗せず律法の下で忍耐しつつ粛々と歩むという考え方が形成された。このような考え方の下で、ローマに仕える徴税人は、律法下の罪人と同等に考えられた。ユダヤにおいて、ローマ帝国に仕えることは、多くのユダヤ人との間に、大きな溝を形成するようなことだった。徴税人マタイは、自分の抱えている現実に苦しんだ。
〇イエスは、苦しむマタイに寄り添って下さる方。…イエスは、収税所に座っていたマタイに声をかけた。「わたしに従ってきなさい」と。そして、マタイの家における会食時に多くの徴税人や罪人が同席した。それをファリサイ派の人が見て、問うたのだった「あなたたちの先生はなぜ徴税人や罪人と食事をするのか」と。イエスは「医者を必要とするのは、丈夫な人ではなく病人である。~わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、罪人を招くためだ」と名言を示された。主の弟子となった元徴税人マタイは、関わったイエスにあるがままを受け入れ共にいてくださることに感謝したことだろう。
律法では、罪の赦しには生贄が必要だが、ひとりの人の人生において「主の憐み」が大きな方向転換を導くことになった。
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