【説教音声ファイル】
2025年2月9日説教要旨
聖書箇所 フィリピの信徒への手紙3章7~11節
キリストと復活の力を知る
原田 寛
バプテストは17世紀のイギリスで誕生します。英語に翻訳された聖書を読み始めた庶民によって、聖書主義、幼児洗礼の否定、政教分離、各個教会主義などのバプテストの信仰が表されます。
15世紀のヨーロッパで宗教改革が広がりました。ルターやカルヴァンの働きが大きかったでしょう。しかしそれを人の力と考えるのは、信仰的にはおかしいことです。元に在ったのは、「聖書」です。そして、聖書を信じた信仰者たちがパウロの言う「キリストと復活の力を知る」ことに出会っていったことにあったと考えます。
当初新約聖書は、聖なる言葉としてギリシャ語かラテン語でしか読むことはできませんでしたが14世紀にウィクリフがカトリックは腐敗していると批判しつつ聖書の英訳を試みるのでした。ウイクリフの運動に刺激を受けたようにボヘミアのヤン・フスという人が「聖書」を信じることを唱えて運動を展開します。その後のルターの改革に影響を与えます。聖書を信じる信仰は、ルターのドイツ語翻訳に繋がっていくのです。聖書の御言葉によって立つことを得た人々が「宗教改革」を共に実行していくことになります。
イギリスでは、庶民に聖書を解放したのが、ウィリアム・ティンダルです。彼は、16世紀に旧新約聖書を命を懸けて英語に翻訳しました。1536年ベルギーで捕らえられ焚刑(ふんけい)に処せられますが、後に表される欽定訳聖書(キングジェームズ版)に繋がるものでした。庶民が手にすることができる聖書を通じて、御言葉に触れていった人々によって、ピューリタン革命や名誉革命が行われ、バプテストが生まれるのです。
バプテストは、17世紀のイギリスで聖書の御言葉を受けて立ち上がった人たちの群れです。その際に、聖書主義、浸礼主義、幼児洗礼の否定、政教分離というバプテストの原則が立てられていきます。進んだり、後退したり、また、進んで、バプテストは強くなっていきます。当時のバプテストは、庶民が中心でした。
天路歴程という聖書に次ぐロングセラーの本の著者、ジョン・バニヤンは貧しい鋳掛屋の家に1628年に生まれました。1649年、信仰篤い貧しい娘と結婚。1653年にベッドフォードのバプテスト教会でバプテスマを受けます。1655年に執事となって伝道を担うようになります。1660年にベッドフォードの監獄に資格のないのに伝道をしたということで収監されます。収監先で「天路歴程」の執筆を始めるのです。内容は、キリスト者の天国への旅です。聖書の御言葉の引用が特徴的です。収監先の様々な経験が影響しているのではないでしょうか。
キリストと復活の力を知ることは、歴史が語っているように大きな力なのです。
それは、イエス・キリストの説いた福音と十字架への歩みです。神は、そのイエス・キリストを復活させたのです。神ご自身が世界にその存在を顕わされたのです。神の御旨にそって歩むことがこの上ないことだとパウロは語っているのです。