【聖書箇所朗読】
【説教音声ファイル】
2026年8月16日説教要旨
聖書箇所 マタイによる福音書15章21~28節
あなたの信仰は立派だ
原田 寛
「あなたの信仰は立派だ」…聞き方によっては突き放されるように聞こえる。立派な思い、立派な考え、立派な人生…他人に「立派な」と言われると、言われた側は、その言葉を励ましや賞賛の意味に捉えることができ、背中を押されて自分自身で歩むように指示していると思うだろう。ましてや「あなたの信仰は」と言われれば尚更のことだ。主イエスは、悪霊に苦しめられている娘と共に生きているカナンの女性をそのように突き放したのだろうか。
この言葉が放たれたのは、ティルスとシドンの地方。そこは、長く地中海の海洋貿易を支配し栄えてきたフェニキアの町。地中海にある諸国に貿易を通じて様々な文化をもたらしていった町であり、必要とされた町だった。
カナン人の母娘は、時代をリードしてきた町にいた。カナン人は、イスラエルがカナンの地に定着する際、排除されるべき民族であった。そして、アッシリアの時代には滅亡している。イエスの時代にあっては、忘れ去られたような民族である。
娘は、悪霊に苦しんでいた。新約聖書は「悪霊」について人に苦痛や混乱をもたらす存在として描いている。イエスは、神の力で悪霊を追い出し、人をその苦痛や混乱から解放していた。母親は、苦痛に喘ぎ混乱する娘を助けたかった。
イエスは母親に「わたしは、イスラエルの家の失われた羊のところにしか遣わされていない」と断るが、母親は癒しを懇願する。イエスは、「子どもたちのパンを取って子犬にやってはいけない」という。母は子犬も主人の食卓から落ちるパン屑はいただきます」と返した。
創世記9章18節以下にカナンについて「セムの奴隷になれ」という現代では理不尽な意味にとれる言葉が記されている。母親は、これを理解していたのだろう。カナンは、ノアとの親子関係において躓いていたが、主イエスは、カナンの母娘に信仰を見出した。「あなたの信仰は立派だ」とイエスは母親に伝えた。そして、娘は癒された。神のみ子イエス・キリストは、カナンの母娘を受け入れ喜んだのだ。神の国の福音は、フィニキアにやってきた。
福音は、国境を越え民族を超え、時代や歴史、様々な壁を乗り越えて、すべての人々に伝えられていかなければならない。
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